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「赤ちゃんが泣かない!? ヒコーキ」プロジェクト 

2017.10.06

◆赤ちゃんも協力♪「赤ちゃんが泣かない!?ヒコーキ」で、実証実験

赤ちゃん連れで旅行をしたいと考えるとき。
飛行機は避けてしまう人が多いのではないでしょうか。逃げ場のない機内で大泣きされたらどうしよう。周りにも迷惑がかかってしまう。
そんな気持ちが、飛行機を使うことにブレーキをかけさせているのでしょう。

実際、0~2歳の子どもの飛行機の利用率は国内線で1.6%。国際線に至っては0.8%に過ぎないそう。もし大泣きになる前に何らかの対策を立てることができるなら、もっと快適な旅行を楽しめる家族が増えるのではないでしょうか。

そこで、2016年6月、ANA・コンビ・東レ・NTTの4社合同で「赤ちゃんが泣かない!? ヒコーキ」プロジェクトが立ち上がりました。

1年以上の時間をかけてきたこのプロジェクト、今回飛行機を1機使い、赤ちゃんにも協力を願って初めての大規模な実証実験が行われました。

2017年10月1日(日)、成田発ANA宮崎行きの飛行機に乗り込んだのは、34家族114名、そして0歳~3歳までの赤ちゃん&幼児36名です。

◆赤ちゃんの不快感を事前に察知

なぜ子どもは飛行機に乗ると泣くのでしょうか。

その原因のひとつが、機内の空気乾燥による不快感、もうひとつは気圧の変化に伴う耳の違和感があるといわれています。
大人はつばを飲み込むなど、無意識に耳抜きをして違和感を解消しますが、子どもにはそれができません。

これらの違和感や不快感の小さな兆候を事前にチェック、推測することで解決は見いだせないでしょうか。

そこで今回の実験では、離陸時につばを飲み込むためと乾燥緩和のため、赤ちゃんには麦茶をコンビのストローマグで、1歳半以上の幼児には、オーラルケアタブレット(テテオ 口内バランスタブレットDC+)が用意されました。

もう一つ、東レとNTTが共同開発したのがhitoe(R)です。


現在研究開発されているのが赤ちゃん用hitoe(R)と赤ちゃん見守り用アプリ「hitoe(R)BABY」です。

 

機内に入る前には、hitoe(R)が赤ちゃん全員に装着されました。

hitoe(R)は、生体情報を計測できる機能素材。現在はアスリート向けにすでに実用化されており、シャツに装着して心拍数などを図ることで心臓の状態やストレス、つまり心身の状況を把握するために使われています。

赤ちゃん用hitoe(R)は、東レが開発したナノファイバー素材に包まれ、赤ちゃんの腹部に直接巻きます。赤ちゃんたちは、最初は腹部に巻かれるのを嫌がる子もいましたが、一旦装着してしまうと、その後は嫌がる子は全くいませんでした。つけ心地のよい繊維素材であることが伺われました。

hitoe(R)と連動した赤ちゃん見守り用アプリ「hitoe(R)BABY」は、赤ちゃんの状態(眠っている 起きている 泣いている(興奮)している などの変化)と心拍数との間の関連性を利用し、hitoe(R)を使って測定した赤ちゃんの心拍数を基に推定した赤ちゃんの状態を楽しく表示する専用アプリです。

トイレに行った、ご飯を食べたなどは親がタッチしておくことで記録になります。

▲心拍数が上がってきて「アクティブ傾向」にあることが表示されている

◆さあ、離陸!

10時。機内に全員が入り着席をしました。離陸する前は空調も効いておらず、狭い場所の圧迫感もあり、大人でも嫌なものですね。赤ちゃんたちも不安そうにキョロキョロする子、グズグズいう子、すでに大泣きを始める子、興味津々で機器をいじる子など、様々。機内はなんとなくざわざわしています。

「麦茶を飲むか、タブレットを舐めるか選択してください」という機内アナウンスがありましたが、この時点で大泣きをしている子は麦茶もタブレットも受け付けません!

▲耳抜きにはミルクを飲むのも有効です♪

10時18分。飛行機が離陸する前後は、機内では多くの赤ちゃんが泣いてしまいました。アプリが示す赤ちゃんの心拍数も急上昇です。

高度があがりシートベルト着用サインが消えると、スタッフが赤ちゃんの状態とアプリとの整合性などを確かめるため、ひとりずつお話を聞いて回っていました。入念な聞き取りデータが今後の研究に生かされます。

11時。この日は朝早かったせいか、離陸直後にストンと爆睡をした子もいました。11時には機内はとても静かになり、おちついた雰囲気でフライトを過ごせました。

▲あっという間に寝ちゃった~

◆子連れにおすすめ、宮崎空港

12時10分。
宮崎空港着。空港内で使えるレンタルベビーカーが待ち構えてくれます。

宮崎空港は、屋上に飛行機が展示されたエアプレインパークがあります。

もちろん本物の飛行機も間近に眺めることができ、トイレもとてもかわいいキッズトイレなどが完備されている子連れにおすすめの空港でした。

食事をしてゆっくりお土産などを見て回り、屋上で遊んで、2時にふたたび集合。hitoe(R)を装着するときは、また泣きべそですが、やはり服をしっかり被せてしまうと、全く違和感はないようです。

復路は、もう赤ちゃんたちも飛行機に慣れたのでしょうか?不安感もなく、ずっとおちついた様子でした。親たちも慣れてきて、同じ年齢の子どもを持つ親同士「何ヶ月ですか?」「随分大きいみたいですけれど、同じ学年なんですね!」と仲良く話が弾んでいました。

◆実用化が楽しみなhitoe(R)

成田空港に到着前には機長から
「本日は、赤ちゃんを囲む家族団らんの姿を見ることができて幸せでした。今日搭乗してくださった赤ちゃんに、本日の記憶が残ることはないでしょう。けれども、家族の中で数年後、今日の思い出を共有してくだされば幸いです」という温かいメッセージがあり、機内でのファミリー写真もお土産として配られました。
機内全体が時々「ほぎゃほぎゃ」「むにゃむにゃ」とした声が聞こえるような温かい空間で、ママパパたちは時々アプリと赤ちゃんを交互に覗き込んでは「熟睡だね」「心拍数も安定している」と確認し合っていました。

◆ママさんCAも応援!

搭乗したCAは6名。すべて小さいお子さんを抱えるママさんCAたちです。ANAでは、事前にこのチャーターフライト実施に関するCA募集を行ったところ、10倍近い応募があったそうです。その理由についてANA広報担当者に伺うと「赤ちゃんが機内で泣いてしまい困っているお母さんを見るにつけ、なんとかしてあげたいという気持ちのママさんCAはたくさんいる。そういう意味でこのプロジェクトに関わって、『赤ちゃんが泣かない!ヒコーキの実現に寄与したい』という気持ちが強いのです」とのことでした。

自分の気持ちをうまく表現できない赤ちゃんや幼児とうまくコミュニケーションをとれるようになれば、大泣きになる前に対処ができたり、赤ちゃんを長い時間集中して見ていなくてもすむようになります。親の負担もずっと減り、旅も楽しくなりますね。

また、機内全体が赤ちゃんに寛容な今回のフライトでは、たとえ赤ちゃんが泣いていても親のストレスも回りのストレスも少なかったようです。アプリだけではなく、社会全体が赤ちゃん歓迎の雰囲気になることでストレスも減ると実感できました。

4社共同の「赤ちゃんが泣かない!? ヒコーキ」プロジェクトは、今後実証実験を続けながら実用化を目指していくとのこと、途中経過も含めて楽しみですね。ココフルでは、今後もこのプロジェクトの行方を見守っていきたいと考えています。(取材:宗像陽子)