■上野の森のすてきな図書館
広大な上野公園の中にあり、超ド級の施設がいろいろある中では
目立たない存在かもしれませんが、
行く価値ありのおすすめ図書館です。
蔵書は約40万冊、古今東西の児童書をそろえ、
「児童書専門図書館」「子どもと本のふれあいの場」「子どもの本のミュージアム」といった役割をもっています。
一方、この図書館の魅力はその建物にあります。
ここは、帝国図書館として1906年に造られました。
かざりのついた鉄の大階段。寄木細工。シャンデリア。漆喰の壁や高い天井。
果物籠や花束などの美しいもようもあるのです。
100年前のシャンデリア
引き戸が一般的だった時代の名残。「おす登(と)あく」とあります。
火曜と木曜の午後2時から行われるガイドツアーでは、こういった建物の細かな説明をしてくれます。
では図書館をご案内します。
■「子どものへや」
主に、小学生までの子どもを対象とした児童書がおいてあります。2015年~2016年にかけてのリニューアルで靴を脱いで本を読むことができるスペースが新設されました。
天井はすべて照明。影ができないので、どこで本を読んでも自分の頭の影で暗くなりません。
「光天井」といいます。
どんな事に興味がある子も、どんな本でもあるよという印象です。
丸く1周できるスペースに、自然・科学・地理・歴史・スポーツ・園芸などわかりやすく並べてあるせいでしょうか。
どのカテゴリーも平等の扱いという感じがします。(当たり前ですが…)
子ども用の検索システムもありますが、見ながらでも探しやすく、
興味が向く方にどんどん入っていける感じがとてもいいです。
■「世界を知るへや」
世界のいろいろな国と地域の自然、人々の生活について知るための本が揃っています。
さまざまな国で翻訳された日本の絵本も揃っています。
この部屋は、帝国図書館時代は貴賓室だったそうです。漆喰の壁、寄木細工の床などが落ち着きを与えてくれるとても品のあるお部屋です。
■「おはなしのへや」
毎週土曜にこどものための「子どものためのおはなし会」が開催されています。
2時からは、4歳~小学1年生まで
3時からは、小学2年生以上です。
大人は入ることはできません。
もう少し小さい子のためには
「ちいさな子どものためのわらべうたと絵本の会」があります。
毎月第2水曜
11時から30分程度です。
6ヶ月以上4歳未満の子どもと保護者(原則として子どもひとりにつき保護者ひとり)が対象です。
15組が定員で事前申し込み・先着順です。
■カフェテリア
軽食、喫茶。安くてお手軽です。テラス席では持ち込み飲食可能です。
至れり尽くせりですね。取材した日も、近くの幼稚園の帰りに寄ったとおぼしき親子が食事をしていました。
食事のあとに図書館に寄るのでしょうか?うらやましい環境ですね。
■休憩・飲食・授乳スペース
2015年新たに新設され、とても広々としたスペースです。靴を脱いでゴロゴロできるスペース、救護室、調乳室、ベビーカー置き場まであり、赤ちゃん歓迎の姿勢がわかります。
■児童書ギャラリー
2階は以前は資料室でしたが、「児童書ギャラリー」、「調べものの部屋」として整備されました。
児童書ギャラリーは、明治から現代までの日本の子どもの本の歩みをたどる常設展示室です。帝国図書館時代は、特別閲覧室だったとか。
往年を忍ばせる4本の柱や高い天井に、心が洗われます。また、子ども時代の懐かしい本を発見して胸がキュンとするかもしれませんよ。
3階は本のミュージアム。その時によってさまざまなテーマで子どもの本の展示会を開催しているので、
ぜひこちらものぞいてみてください。
3階の部屋の外は白いレンガ。廊下は明るいガラス張りになっています。実はこの白いレンガの壁、帝国図書館時代の外壁だったそうです。100年前の木枠の窓も残されています。
子どもだけが味わうにはもったいない「国際子ども図書館」。
ぜひ大人の方も、明治の香りを楽しみに、行ってみてはいかがでしょうか。
たくさんご本を読んで満足したら、外に出て上野公園をのんびりお散歩してくださいね。(宗像陽子)
<国立国会図書館国際子ども図書館>
住所:台東区上野公園12-49
電話:03-3827-2053(代表)
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜、国民の祝日・休日<5月5日のこどもの日は開館>、年末年始、資料整理休館日<毎月第3水曜>
アクセス:JR上野駅 公園口から徒歩10~15分