お月様って不思議。大きくなったり小さくなったり、こっちにいたと思ったら、あのおうちの向こうにいたり。歩いているといつもついてくるし。
そんなお月様は、子ども達も大好きですね。9月の十五夜を前にして、お月様にちなんだ絵本をいくつか選んでみました。大きな大きなお月様を親子で見て、語り合って豊かな時間を過ごしたいものですね。
子ども達はどの本が好きかな。
目次
つきのぼうや (作・絵イブ・スパング・オルセン 福音館書店)
ある夜、みずたまりにうつった月を見て、友達が欲しくなったお月様に頼まれたつきのぼうやが、おつきさまを取りに行く話。縦長の本で、高い高いお月様のところからつきのぼうやがどんどん降下し、お星様、飛行機、渡り鳥の群れを見ながら、どんどんストーリーをつないでいくのが、とってもすてきです。
ストーリーも、絵本の構成も、絵のおしゃれなところも、結末もとてもいいと思います。お月様の頭にショワショワと毛がはえているのも密かなツボです。1975年発行なので、小さい時に読んだパパやママもたくさんいるかもしれませんね。
(いわむらかずお 童心社)
言わずと知れた14ひきシリーズのお月見編。心なごむ14ひきシリーズの中でも、青で彩られたお月見編は特に美しく、我が家でもお気に入りの1冊でした。
えっさかほいさと14ひきがせっせと何かを作っています。何かと思えば、それはお月見台でした。
やっと完成したお月見台。その次のページをめくると鮮やかな夕焼けの色。次のページをめくると次第に広がる夜の色。そして山の端から少しずつ出てくるお月様の美しくて大きなこと。14ひきといっしょに思わず手を合わせたくなります。
我が家では、毎年お月見のころにはベランダに出て月を見ながら団子を食べ、この本を読むのが習慣でした。至福のときでしたね。子ども達はそれぞれお気に入りのねずみがいて、ページの細かいところまでみてお気に入りの子が何をやっているかチェックしているのもほほえましかったです。そうそう、ダイナミックにページをめくっていっても色の鮮やかさに見とれるし、細かく隅々まで見ても楽しい絵本です。
(作 山本省三 監修本田隆行 小学館)
メルヘンなお話より、科学的な本を好む子にはこちらはいかがでしょう。
月の満ち欠けはどうして起こるの?月ってどれくらい遠いの?素朴な疑問からちょっと専門的な謎まで、しっかり答えてくれます。でも小さな子どもにも親しみやすいイラストなので難しくはありません。宇宙服を着て、月を目指して家族で出発します!無重力空間でトイレに行ってみたり、ご飯を食べたり、科学的な根拠に基づきながら楽しく旅は続きます。それぞれのページの体験には、家で簡単にできる実験なども織り込んであり、楽しみながら月について学べます。
(ヨーレン詩/くどうなおこ訳/ショーエンヘール絵 偕成社)
芸術的なタッチの絵本でしたら、こちら。「わたし」は、ある冬の夜更け、とうさんにつれられて、みみずくに会いに森に行きます。しんしんとつもる雪の中、みみずくに会いに行く胸の高鳴り、そしてみみずくとの出会い。ドラマチックな展開はありませんが、その絵のすばらしさと感性豊かな文章に、まるで研ぎ澄まされた映画を一遍見たような深い満足感を得られます。「のはらうた」で有名なくどうなおこさんが訳しています。
(岩崎京子・文 長野ヒデ子・画 株式会社教育画劇)
日本人で、月のお話と言えば、やはり「かぐやひめ」でしょう!人気があるのか図書館にもたくさんの「かぐやひめ」の本がありました。大人っぽい絵が多い中、ちょっとインパクトのある色彩で手に取ったのがこちら。かぐやひめの話は、小さいときから慣れ親しんでいたはずですが、改めて読んでみると、面白いですね。美しく育ったかぐやひめにおおぜいの若者がプロポーズして、わざと難しい問題を出して誰もクリアできなかったりするところもスリリングですが、なんといっても最後の十五夜の夜、月からの迎えにそうはさせじと兵士2000人で迎え撃つところなど、なかなかの迫力です。
美しいかぐやひめは月に帰って幸せなのかな。大きな十五夜を見つめて皆さんも子ども達と思いを馳せてみてください。
さて、いかがでしたか。ところでお月見の由来は皆さん知っていますか? 当日はどんなものを食べるのでしょう。そんなお話についてはこちらの記事を読んでみてくださいね。
(文 宗像陽子)