みなさん、上関という地名をご存知ですか?
瀬戸内海に面した山口県南部に位置する上関町には、 有識者が「奇跡の海」と称するほど、
稀少な海生生物や絶滅危惧種の鳥類が多く生息しています。
2018年4月に、「一般社団法人上関まるごと博物館」が、体験型宿泊施設「マルゴト」のお披露目会を開催しました。
「上関まるごと博物館」は、豊かな自然を100年後の未来の子どもたちに残すために活動をしている一般社団法人で、上関の魅力をたくさんの人に体感してもらうため、自然や漁師文化の体験・交流の拠点となるよう設立されたものです。
2018年4月6日(金)のお披露目会では、設立のためのクラウドファンディング出資者や報道関係者、支援を続けてきたアウトドア企業パタゴニア日本支社のスタッフなど約 30 名が参加しました。
ココフル編集部もご縁があり、初上関&お披露目会に参加してきました!
奇跡の海を直接見ることができる!とウキウキしながら前日に岩国空港に着くと翌日の天気予報はかなり厳しい雨。
天気予報が外れてほしいと思いつつ、翌日外は雨。ああ、残念…と思いながら上関に向かいました。
上関は岩国空港から車で1時間程度。道中、海を眺めながら進むとあっという間に到着しました。
取材当日はあいにくの海の色でしたが、天気が良ければ澄み渡る色だそうです。
「体験型宿泊施設マルゴト」は細い路地を進み、階段の上にある古民家を改修して作られました。
施設につくと、まずはオリエンテーション。「一般社団法人上関まるごと博物館」の代表の高島さんと、「マルゴト」の管理人上田さんより挨拶。
「マルゴト」の設立までの経緯や想いが語られました。
「マルゴト」は旅館ではなく、上関全体のエントランスホール。まちやどをイメージしているとのことです。
ここを起点に、色々な体験をしてほしいということで、早速外に出て上関を味わうことになりました。
1)地元、室津港でとれた立派な鯛を漁師さんが丁寧に説明しながら、 魚のさばき方体験。
講師は「上関ネイチャープロジェクト」のメンバーで、地元漁師の”てっちゃん“こと小浜鉄也さん。仕留め血抜きをする手順、3枚おろしを実演しました。
数十年のプロと、漁師1年目(マルゴトの管理人も兼任)の上田さんですと、しめるときのスキルが違います。一発で仕留めると、バタバタ!と真鯛が飛び跳ねます。
参加者も体験させていただきましたが、とにかく難しい。てっちゃんは軽やかに説明しながらすべて一発で仕留めていきます。
そして3枚におろしていただき、その場で早速刺身をいただきました。地元で売っているちょっと甘い醤油に、七味をいれて刺身につけるのがおすすめといわれました。いやーぷりぷりでおいしい。実がつまっているというのはこういう事なんですね。
このタイミングでは試食のみですが、夕方の交流会で締めたお魚を食べさせてもらえるそうです。楽しみです。
2)仕留めた魚で魚拓体験。意外と魚拓って難しい。
『今度来た時は自分で釣った魚を魚拓にできるように、今日は魚拓体験をしてみましょう!』と、いうことで、先ほどの魚を魚拓にしてみました。
てっきり魚を紙の上に乗せるのかと思ってましたが、魚に墨をぬり、紙をその上からやさしく押し付けると聞いて、
なるほど!と納得。
また細かいうろこなどを表現するのが難しい…。ゆっくり優しく離さないと紙が破けてしまう。
魚全体をいれてみたり、2枚に紙を分けたり、顔部分のみをアップにしてみたり、人により作品も変わり大人も子どもも思わず夢中になってしまう時間でした。
3)タケノコ堀り&レモン狩り
昼食には、上関でとれたサザエを使った炊き込みごはんのおにぎりと、上関町の祝島特産びわ茶をいただきました。
シンプルな味ですが、素材の味がしっかりしていてとてもおいしかったです。そして、上関の稀少な生き物たちの映像を鑑賞した後は、
「 タケノコ掘り・レモン狩り体 験」「史跡四階楼 と港町の歴史探訪」の二手に分かれ、上関を巡りました。
ココフル編集部は「タケノコ掘り・レモン狩り体験」に。車で 15 分ほどの長島の無農薬農家、山戸さんの畑にお邪魔しました。
まずは鍬の使い方、タケノコの掘り方のレクチャーをいただき、いざ体験です。
タケノコも掘る方向があるそうで、周りを掘り進めて、方向を定めて鍬で一気に収穫します。向きが違うときれいに切れず。
私も一回チャレンジさせていただきましたが、どれぐらいの力加減で掘ればいいのかわからず苦戦。
こちらのタケノコもこの後、天ぷらにしていただけるそう。楽しみです!
タケノコ掘りの後はレモン畑に移動です。
これがほんとの瀬戸内レモン。レモンが木になっているのを見たのはこれが人生初でした。
お土産に1ついただいたのですが、実がたっぷりで、そのまま食べても酸っぱくなかったです。紅茶おいしかったな…。
4)最後に交流会
2チームに分かれたメンバーが「マルゴト」に再集合して交流会となりました。
朝、仕留めた真鯛は、刺身やカルパッチョ、煮付けに。そしてタケノコは天ぷらになりました。
乾杯のあいさつは、上関の自然を守る活動に長年支援をいただき、 「マルゴト」設立 にも大きな役割を果たしたパタゴニア日本支社の辻井 隆行さん。
「いま日本は、経済成長だけではない幸せのあり方を探していくべき時に来ているのではないかと感 じています。素晴らしい自然を残すこの上関には、そんな幸せを見つけるためのヒントがあるのでは ないかと思っています」
その日収穫したものが、夕方に食卓に並ぶ。日頃自分がいただいている、食べ物も誰かが大事に育ててくれたり、収穫してくださってるものなんだよな…と改めて思いました。
沢山あった食事も、釣ってくれた人・収穫してくれた人、調理してくれた人がいると、残してはいけない。と無意識に思うのか、自然から頂いたものだとこの場所にいるとより感じるのか、すべてきれいになくなりました。
きっと子供たちが参加すれば、さらに感じることがあるのではではないかなと思いました。
当初、天候が悪く残念だな…と思っていたのですが、上関には他にもたくさんの自然もあり充分楽しめました。
また、自然だからこそ思う通りにはいかない。それが当たり前なんだよな…と反省しきり。
上関には1日しか滞在できませんでしたが、 関わっている方がみなさんがものすごく明るい方ばかり。
もっと上関を知って、こんなところもあるんだよ、これもぜひ味わってみて!といわれるたびにどんどん上関に、そして活動をされている皆さんに引きこまれていきます。
そして上関の自然は一度壊れたら二度と戻らない。守りたい、だからこそ知ってほしい。そんな思いを感じました。
最後に、代表理事の高島さんより、
「私たちでは到底できなかったことが、たくさんの方に支えられて実現しました。設立に関わってく ださったみなさん、
今日出会うことができたみなさん、ありがとうございました。みなさんの第二の ふるさとのような場所になりたいと思っています。ぜひまたここへ帰ってきてくださいね」
との温かい言葉をいただきました。また帰ってきたい、そう思える場所でした。
【マルゴトについてークラウドファンディングで古民家を改装】
体験型宿泊施設「マルゴト」は、上関の自然を次世代に残すこと、 多くの人に体感してもらい自立したまちづくりを進めていくことを目的に活動する「上関ネイチャープロジェクト」の拠点として設立されました。 クラウドファンディングで費用の一部となる約520 万円を得て、
築 40 年の古民家を 東郷哲史さん(ブリコルール・東京都渋谷区)のもと パタゴニアスタッフや山口大学学生らと改修。 現在セミナーハウス として活用され、2018 年 6 月頃には宿泊施設としてオープンが予定されているそう。夏休み頃にはご家族で宿泊も可能そうですね!
ゲストハウスの中はドミトリールーム、 シングルルーム、 ツインルームの3種類。 共同キッチンやお風呂、トイレもあります。
【体験型宿泊施設「マルゴト」に関するお問い合わせ】
一般社団法人上関まるごと博物館「マルゴト」
staybynature@icloud.com