バリアフリーで、ほのぼの。55分の小トリップ♪
出発時の「チンチーン」という音、住宅の軒下を走るようなローカルな雰囲気、鉄道好きの子どものみならず、大人の心もワクワクさせてくれる都電荒川線。明治15年に二頭馬車で客車を引いた馬車鉄道から始まり、戦前・戦後と庶民の足として活躍した都電も、都内の交通環境の変化を受けて昭和47年には現在の荒川線のみを残して全て廃止されました。
その唯一の生き残りである都電荒川線は、早稲田から三ノ輪橋までトコトコ走って全長約12km、始発駅から終点まで乗っても55分と、子どもを連れた小トリップには最適!車と一緒に横並びで走る楽しい電車に、今日はドップリ浸かってみましたー!
まずは早稲田のターミナル駅へ。広い道路のど真ん中に島のように鎮座する都電早稲田駅。駅なのに階段も改札もないので、お年寄りやベビーカーのママには楽チンです!ホームから電車への段差もないので、そのまま乗るのもたたんで乗るのもどちらも負担にはなりません。
都電はどこまで乗っても一律170円(2014年4月改定)なので、都バスのように乗る時に電車賃を支払います。
▲早稲田駅。さあ、出発!
風情豊かな面影橋
神田川に沿って走り始めると、次は面影橋。ここはサクラの名所としても有名で、電車からでもその鈴なりのサクラを眺めることができます。取材日にはまだ蕾でしたが、去年撮った写真はコレ!
▲面影橋の見事なサクラ。神田川に覆いかぶさるように咲く姿には、ため息が出てしまうほど。
そんな乙女な気分をよそに、電車は目白通りを右折するため交差点に差しかかります。都電は時折車と一緒に道路を走るため、その時は車同様、道路標識や信号に従います。直進の車が行き過ぎるのを待つ、信号待ちの都電くん。電車のすぐ前を車がビュンビュンと走る不思議…これも都電の旅の醍醐味です♪
▲交差点での信号待ち
停留所と停留所の間は300~500m程度と、バスと同じくらい。降りたい停留所の前でブザーを鳴らし、後ろのドアから降りるという仕組みです。一停留所くらいなら、間違えても歩けるという距離が嬉しいかも。とにかく地元民の足としても大活躍の荒川線は、おじいちゃん・おばあちゃん・サラリーマン・学生・親子連れと実に色々な人たちが利用しています。
▲荒川線路線図
下町を走る路面電車なだけに、子どもを連れていると話しかけられることも多いです。
「お子さんいくつ?」
「こっち空いたわよ、座ったら」
「どこまで行くの?」とさながら、車内はコミュニティセンターのよう。無愛想そうな男子学生がスッと席を譲ってくれることもあり、人情の温かさを知る小トリップです(じんわり)。
ラッピング電車が多い都電は、最近カラフルな車両もたくさん登場。この日は3月中旬~4月中旬まで期間限定で走るレトロなラッピング電車「都電さくら号」にも会えました~!
▲遭遇!ピンクのラッピング車は、なんだか顔がユーモラス
▲期間限定「さくら号」
寄り道もまた楽し
ぶらりと「荒川遊園前」で途中下車してみました。
あらかわ遊園http://www.city.arakawa.tokyo.jp/yuuen/ は入場料だけなら大人200円、未就園児は常に無料で入れる地元密着のミニ遊園地。かわいい観覧車やファミリーコースター(別途のりもの券、セット券、フリーパス券などもあり)、公園や釣堀(料金別)もあり、2才未満の子づれならベビーカーも無料で貸出してくれますよ!
あらかわ遊園までの遊歩道にある駄菓子屋兼もんじゃ屋さん「こどもの家きくや」も昭和の香り漂う懐かしい場所。遊園地帰りにちょっと立ち寄って、一息つくのも楽しいですよ♪
一つお隣の「荒川車庫前」で降りれば、駅前に古い車両や珍しい車両などが見られる車庫もあり、子鉄・ママ鉄にはたまらない垂涎のスポット。あらかわ遊園→荒川車庫も天気が良ければ丁度良いお散歩コースにもなりそう♪
▲あらかわ遊園で遊んでも。
ここまで来ると、終点「三ノ輪橋」まではあと少し。車窓からの眺めとお別れするのも、ちょっぴり寂しくなってきます…。道路を走るバスと違って、ゴトゴト・ガタガタ進む都電は、その揺れが何とも気持ちよく子どももよく眠るような気がします…って気づくと私もウトウトしそうに…おっと危ない。都電の停留所は1階にあるうえスロープも多く、地下や階上にある地下鉄や電車の駅と違ってママには本当に助かる造りです。
いよいよ終点の三ノ輪橋に到着。ここも時代を遡ったようなノスタルジックな雰囲気で、ほのぼのとした気持ちになります。春先には荒川バラの会の方々が手塩にかけて育てたバラが咲き誇り、彩を添えるそう。すぐ近くには「ジョイフル三ノ輪」という昔ながらの商店街も健在です!
夕ご飯の惣菜を買って帰るもよし、ちょっと一服ひと休みしてもよし。
都電下町小トリップの最期の締めとしてはこれ以上ないほどピッタリな商店街です。
▲三ノ輪橋に到着♪
▲ノスタルジック~♪
貸切も可能
実は都電荒川線の車両、貸し切ることができるのを知ってますか?
希望の区間の片道運行1回分の運賃13,820円(学生なら12,290、子どもなら7680円)で、貸し切ることができるんです!
巣鴨とげぬき地蔵縁日の日(4日・14日・24日)やゴールデンウィーク、お盆などオンピークを除いた毎日10:00~15:30まで。※詳しくは荒川電車営業所(電話:03-3893-7451)に問い合わせ。
子どものお誕生日や幼稚園のイベントなど、特別な日にお友だちと都電を占領しちゃうのもおススメです。
ただ飲食は不可なので、パーティは電車に乗った後でどうぞ!
色々な楽しみ方ができる、都電“チンチン電車”荒川線。今だからこそ楽しめる子どもとの小トリップに、一花添えてくれるステキな存在です。 (元井朋子)
<都電荒川線>
早稲田⇔三ノ輪橋
問い合わせ:荒川電車営業所 電話:03-3893-7451