◆みんなの面白いが一番おもしろい! ともだちみんなでえらぶ最強の本決定戦!
「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」は、児童書出版社として70周年を迎えたポプラ社が「こどもたちに面白い本と出会える機会を作り、本をもっと身近に感じてもらいたい」という思いから企画した公募イベントです。
2017年11月1日~2018年2月16日まで約2000軒を超える書店店頭、全国の小学校、公共図書館およびポプラ社HPにて投票用紙を配布、小学生を対象に自分の一番好きな本を1冊投票してもらいました。なんと応募総数は約12万8055票となりました。
2018年5月5日(土)の「こどもの日」に、「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」の結果発表会が「荒川区ゆいの森あらかわ」で実施され、ココフル編集部も行ってきました。
◆又吉直樹アンバサダー登場
荒川区長西川太一郎氏、ポプラ社代表取締役社長長谷川均氏の挨拶で発表会は始まりました。
▲荒川区長西川太一郎氏
▲ポプラ社代表取締役社長長谷川均氏
その後、作家でお笑い芸人である又吉直樹さんが登場。
▲又吉直樹さん
当企画のアンバサダーである又吉さんは、募集期間中は公式サイトで子どもたちに読書の楽しさを伝えるメッセージを発信するなど活動をしていました。この日は、子どもプレゼンターへ「自分で思っているよい大きな声を出すと緊張がとけるよ」とアドバイス。
若干緊張気味の子どもたちの顔はパッと明るくなり、会場も一気にリラックスムードとなりました。
◆10位から順次発表
いよいよ、ベスト10の発表です。
ベスト10を発表するのは投票者の中から選ばれた小学生10名。自ら投票した本を発表し、一言ずつその本が良いと思った理由を述べて賞状を作者(出版社)に渡します。子どもたちが賞状を渡すと作家の先生たちが神妙な顔で受け取っていましたよ。
1位 おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典
監修/今泉忠明 2016年 高橋書店
プレゼンターコメント:いろいろないきもののざんねんなところを知りました。ざんねんなところをかいぜんしたいとおもいました。
2位 あるかしら書店
著/ヨシタケシンスケ 2017年ポプラ社
プレゼンターコメント:僕は作家になりたいので、『作家の木の育て方』をあるかしら書店で買いたくなりました。
3位 りんごかもしれない
著/ヨシタケシンスケ 2013年 ブロンズ新社
プレゼンターコメント:給食のミカンを手に取って「これはもしかしたらミカンの形をしたりんごかもしれない?」とか「これはUHOかもしれない」とか言って友達と遊びました。
4位 おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典
監修/今泉忠明 2016年 高橋書店
プレゼンターコメント:本当のことを書いてあっておもしろい。一つひとつ調べるより楽だと思いました。
5位 おしりたんてい かいとうVSたんてい
作・絵/トロル 2017年 ポプラ社
プレゼンターコメント:最近下の妹にも読んであげています。きょうだいみんなで楽しく読め僕が一番大好きな本です。
6位 おしりたんてい いせきからのSOS
作・絵/トロル 2017年 ポプラ社
プレゼンターコメント:じぶんがぼうけんの」世界に入ったかんじだったからこの本を選びました。
7位 このあとどうしちゃおう
作/ヨシタケシンスケ 2013年 ブロンズ新社
プレゼンターコメント:私のひいおじいちゃんは3年前に亡くなりました。ひいおじいちゃんも天国で楽しく暮らしているとよいなと思いました。
8位 ぼくらの7日間戦争
作/宗田理 絵/はしもとしん 2009年 KADOKAWA
プレゼンターコメント:主人公たちが大人たちの言うことを聞かないで、自分たちの「解放区」を作ったのがすごいと思って、感動しました。
9位 ふしぎ駄菓子屋銭天堂
作/廣嶋玲子 絵/jyajya 2013年 偕成社
プレゼンターコメント:私はすこしこわくておおしれおい本が大好きです。銭天堂は、ゾクッとする面白さがあります。
10位 りゆうがあります
作・絵/ヨシタケシンスケ 2015年 PHP研究所
プレゼンターコメント:自分にも「そうだと思う!」というところがたくさん書いてあったからです。
◆すごい奴ばかりじゃない。残念でも頑張って生きている
見事1位と4位に輝いたのが「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」と「続おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」です。シリーズ累計160万部を突破したベストセラー。
監修に当たった今泉忠明さんによれば、この本は「今までの動物の本はすごいところにばかり光を当てていました。この本は、進化の話なのですが、必ずしも進化していなくても生き延びている動物はたくさんいるんです。残念な一面に光を当てたはじめての本なんですよ」とその魅力について語りました。
◆ヨシタケシンスケ氏、4作品が入賞の快挙
ココフルでもご紹介したことのあるヨシタケシンスケ氏、10作品中4作品がえらばれるという快挙となりました。
ヨシタケ氏のあたたかい絵と子ども目線は、小学生にとってもうれしいものなのですね。ちなみに、このイベントのロゴマークもヨシタケ氏によるものです。
ヨシタケ氏は「甘えん坊だったり、シャイだったりした子どものころの自分が、この本を喜んでくれるかなという気持ちでいつも書いています」とのこと。「子どものころにしか感じないこともあります。だから子どものうちにたくさん本を読んで、感じてほしい。この程度の絵なら、僕にも描けるなとたくさんの子どもたちが思ってくれて絵本作家になってくれたらうれしいな」と語っていました。
◆30年前の本も入賞!
8位に入った「ぼくらの7日間戦争」は、30年前に書かれた本です。宗田さんは「あと3日で90歳」というお年。「いろいろと書いてきましたが30年以上前の本がいまだに読んでいてくれてありがたい。子どものやりたいことというのは、今も昔もあまりかわらないのですね」。
又吉さんも「ぼくらの7日間戦争」を子どものころに読んだということで、今回選ばれたことには感心しきりでした。
◆読書の楽しさをもっと知ってほしい
又吉さんは、読書の楽しさについて「読みながら作中人物に話しかけたり、突っ込んだり、自分自身が自分らしさで反応できるのが、本の素晴らしいところ。何度も読めば、その都度発見があり、以前気付かなったところが気になったりするのも楽しいですね」。また「1冊の本との出会いというものがあります。自分の世界が広がったり、自分の疑問を考えるきっかけにもなりますよ」と、本を楽しむことを呼びかけていました。
今回のような形で、たくさんの子が面白いと思っている本がわかれば、今まで本に興味のなかった子も本に興味がわくでしょう。子どもにどんな本を与えていいかわからない大人にも、いいヒントになるでしょう。子どもがこんなものに興味があるのかと、大人もつい手にとってみたくなりますね。
実はココフル編集長のむなぽんも、ベスト10に入った本の中には知らなかった本もたくさんありました。食わず嫌いでなんとなく読んでなかった本もありました。あとで思わず会場となった「ゆいの森」で立ち読み。なるほどおもしろい!
「もし、子どもの本離れが進んでいるとしたら、それは面白い本を作っていない我々の責任なのですね」と言っていた出版社の方の言葉が印象的な、子ども主体の楽しいイベントでした。
今年は70周年の記念イベントとして実施されましたが、来年以降の実施も予定しているとのこと、とても楽しみですね。(取材・文:宗像陽子)
<『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』 概要>
■主催:こどもの本総選挙 事務局
■特別協力:朝の読書推進協議会
■投票期間:2017年11月1日~2018年2月16日まで
■投票資格:2017年10月1日時点で小学生であること
■公式サイト:https://www.poplar.co.jp/company/kodomonohon/award/