春になると、虫たちも活発に活動してきます。
皆さん、昆虫は好きですか?
私は、はい、苦手です!
我が家には男の子が多いので、
セミやクワガタやカブトムシを臆せずつかめる母になりたいと憧れながら、
いまだに、自分よりはるかにはるかに小さい虫たちに、
腰が引けてしまいます。
そんな私が「虫ってかわいいな」と、思わされてしまったのが、
この童心社の絵本。
得田之久さん・文、久住卓也さん・絵
「むしたちの~」のシリーズ。
個性と表情豊かな虫たちが、
てんやわんやとイベントを繰り広げます。
虫嫌いはもしかして損!?
もっと子どもたちと虫を見つめてみようかな…
なんて気持ちにさせられてしまうから、
不思議です。
読んでいて温かい気持ちになるのは、
作者の虫たちへの温かいまなざしを
感じるからかもしれません。
虫が大好きな方はもちろん、
虫が苦手なママにこそオススメです!!
私が特にお気に入りなのは
「むしたちのおんがくかい」。
オーケストラを繰り広げようとした虫たちが、
天候や人間界の様々な障害を乗り切り、
やっとこさ、開催にこぎつけるのですが、
それまでの苦難にドキドキハラハラ。
楽しげに
生き生きとした演奏の様子を見せてくれるラストには、
ほんわかします。
子どもが幼稚園小学生になったら、
虫を飼育する生活になるのだろうか、
と思っていたのですが、
虫が苦手な母の気持ちを察してか、
我が子たちは家で飼いたいと言ったことがなく過ぎてきました。
そんな中、昨年夏前、函館に引っ越してくる直前に、
小5長男が友達から小さな「ヒラタクワガタ」を、カゴ付きでもらってきました。
最初はおののいていた私ですが、
毎日様子を眺めるうちに情が移り、
“ヒラタくん”と名付けてお世話に参入。
ヒラタくんは、東京→函館の引っ越しも、車+フェリー+車の1日半かけた長旅をへて、
一緒にきてくれました。
そんなヒラタくん。
ヒラタクワガタの飼育経験がある知人から
「ふた冬越しましたよ!」なんて聞いて、
昨年12月頭に冬眠の環境を整え、
春にまた元気な姿を見られるのを
楽しみにしていました。
ところが先日、様子を見たところ、
ヒラタくんの命が途絶えてしまっていました。
小5長男は、ずっと泣いていました。
生き物の宿命とは思いながら、
お世話の仕方がまずかったのか、
どうすればよかったのかと私も落ち込み、
涙がにじみました。
長男に、
「みんなにヒラタくん!と声をかけてもらって、
東京から函館まで一緒に来た
ヒラタくんは、きっと楽しかったと思うよ」
としか言えませんでした。
そんなこと虫は分かるはずないと思いつつ、
そう信じたい自分がいました。
フェリーの中のヒラタくん。
新しい土地に向かう私たち家族を、
励ましてくれていた存在でした。
ヒラタくんは、
私が初めて、かわいい~と思ってつかむことができた虫でした。
またそんな仲間がやってきてくれるかな。
「むしたちの~」シリーズをめくりながら、
そんなことを考えています。(千葉美奈子)