3月14日は「世界睡眠デー」です。
夜の間にしっかり疲れをとり、朝は気持ちよく起床したいもの。けれども赤ちゃんがいれば、夜中に授乳や夜泣きのために何度も起こされてしまい、朝は起きられず、熟睡した気にもなれず、悪循環に陥っている人も多いでしょう。
また仕事が忙しければ生活のリズムが次第に狂ってきて、眠れない夜を過ごしている人もいるでしょう。
2025年1月に大正製薬株式会社が全国の20代以上の男女1000人を対象に「朝、すっきりと起きるために、どんな対策をしているか」を調査したところ
「部屋や寝具を快適な温度にする(249人)」
「規則正しい生活を送る(235人)」
「寝る直前に食べないなど、食事の時間に気を付ける(182人)」
「部屋を快適な湿度にする(159人)」
「(適度な)運動をする(144人)」
「朝起きたら朝日を浴びる(121人)」という順位になりました。
日本睡眠学会専門医で日本医師会認定産業医の白濱龍太郎先生によると、睡眠の質を上げるためには、環境づくり、生活習慣、食事などを組み合わせて対策することが重要だといいます。
しかし、朝日を浴びる、寝る1~2時間前までにぬるま湯にゆったり10分ほど浸かるといったことは、赤ちゃんがいる家庭ではなかなかむずかしいこと。いろいろとある対策をどれかひとつでも意識して取り入れてみるといいかもしれません。
食事に関しては、朝昼晩で摂取したい食材は変わるそうです。セロトニンというホルモンは夜になるとメラトニンに変わり、眠気を誘発します。ですからなるべくセロトニンの材料となるトリプトファンを食べればよいということになります。トリプトファンを豊富に含むのは納豆やヨーグルトなどの発酵食品です。幸せホルモンともいわれるセロトニンを合成するビタミンB6を含むいわしや鮭などもおすすめです。
パンならヨーグルト。ご飯なら鮭や納豆と言えば定番中の定番ですが、実は合理的な食材なんですね。
昼はあまりたっぷりと炭水化物を摂取すると眠くなってしまいますから、ご飯、パスタなどの量は控えめにしましょう。
夜は、お酢やカプサイシン(激辛はNG)、GABA、タウリンなどを積極的に取るとよいそうです。カプサイシンは寝る前に体温を上げてくれます。またタコやイカに含まれているタウリンは、深部体温を低下させる効果や睡眠を調整する因子(CHRM1、CHRM3)を増加させる効果があり、安定した睡眠を助けてくれる可能性があります。酢の物や、タコ・イカが睡眠を助けてくれるとは驚きですね。
またタウリンは、胎児や新生児は合成しにくいため、胎盤や母乳を通じて母親から渡されることが大切とされていますので、授乳期のママ、マタニティさんは積極的に摂るとよいですね(過剰摂取は控えたいですが)。
また忙しいとうっかり忘れがちなのは、水分を摂ること。授乳期はもちろん水分摂取が欠かせませんが、そうでなくても人は寝ている間にコップ1杯の汗をかくそうですから、意識して水分を摂るようにしたいものです。水分を摂ることで血栓予防ができ、副交感神経が優位になり、睡眠の質を高めることができます。水分は利尿作用がないものや白湯にしましょう。
マタニティでも赤ちゃんがいてもできるような対策をピックアップしてみました。少しでも睡眠の質を向上させて、すっきりと起きられる朝が迎えられますように。
【監修】「RESM新東京 スリープメディカルケアクリニック」 院長 白濱龍太郎先生
慶應義塾大学訪問准教授。東京医科歯科大学呼吸器内科や睡眠制御学快眠センター勤務等を経て、2013年に睡眠・呼吸器科の専門医院を開設。翌年には経済産業省海外支援プログラムに参加し、インドネシア等の医師たちへ睡眠時無呼吸症候群の教育を行う。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院の客員研究員として睡眠に関する先端の研究に従事。日本睡眠学会専門医、日本医師会認定産業医。
参考論文:https://www.hama-med.ac.jp/mt_files/6b422f2e5c4ce65237c1782c8fb352ff.pdf
(ココフル編集部)