江戸時代から宿場町として栄える三軒茶屋のランドマーク「キャロットタワー」は、東急田園都市線・世田谷線の三軒茶屋駅に直結する26階建ての高層ビルです。
わが家にとっては、B1〜2Fに入っている「TSUTAYA」「ユニクロ」「カルディ」「3COINS」「東急ストア」などで買い物をしに立ち寄る場所でしたが、今日は少し視点を変えて、タワーの3F以上を息子と一緒に散策してみることにしました。
すると思いがけない見所や、親子で休憩できるスペースがあったのです。
目次
江戸時代中期、三軒茶屋と用賀を結ぶ大山道の三叉路に「信楽」「角屋」「田中屋」という三軒のお茶屋ができ、旅人の憩いの場として賑わったことから「三軒茶屋」と呼ばれるようになったこの一帯。当時の「田中屋」が現在も「田中屋陶苑」として残っているなど、古いものと新しいものが入り混じって不思議な磁場を生み出す三軒茶屋は、今なお行き交う人々で賑わっています。
東急田園都市線・世田谷線の三軒茶屋駅に直結しており、雨の日でも濡れずに乗り換えや買い物ができる便利な複合商業ビル「キャロットタワー」は、まさにその中心を担うランドマーク的存在。
店舗やオフィスフロアの他、「世田谷パブリックシアター」や「シアタートラム」などの劇場施設、日常の暮らしに身近なデザインや文化の発信地として展覧会やワークショップなどを開催する「生活工房」、住民票の写し等の発行が行える行政窓口、そして最上階には展望ロビーやレストランも併設。この土地の暮らしや文化を担う場所として根付いてきました。
キャロットタワーの地下2〜3Fには92台もの収容数を誇る地下駐車場「キャロットパーク(30分350円/最大料金2,700円/夜間一泊1,000円)」があります。
また駐輪場は1F正面入口付近(自転車87台収容)と、タワー裏側から入れる地下駐輪場(自転車405台収容)を完備。一時利用のみで料金もリーズナブルなため、タワーに訪れる人や電車に乗って通勤する人など、多くの人に利用されています。
私たちは地下駐輪場を利用しましたが、朝9時の時点ですでにたくさんの自転車が駐輪されていました。
表裏2箇所の出入口をつなぐ中層棟1Fは、自然光の差し込む吹き抜けに。オフィスエリアや上下階にも移動できるハブ的空間となり、回遊性の高いつくりです。
世田谷線と田園都市線の乗り換えにはB1Fの連絡通路を使う人がほとんどなため、通勤ラッシュの時間でも1Fは比較的すいています。視界が開けているので、開放感のままどんどん先を行ってしまう息子の背中を落ち着いて追うことができました。
フロアは「ショップ&レストラン」のほか、「世田谷文化生活情報センター」「展望ロビー」と分類されています。さっそく「世田谷文化生活情報センター」内にある「生活工房(3F〜5F)」に行ってみることにしました。
1Fからエスカレーターを上がると、3F「世田谷パブリックシアター」の向かい側に「生活工房」と書かれた入り口を発見。入ってすぐ横に展開するガラス張りの展示スペースが何やら賑やかで、息子は一目散に駆け寄って行きました。
ここはデザインやアートを紹介する「生活工房ギャラリー」という展示スペース。「生活工房」が独自に実施する大型企画に関連した作品を展示したり、世界の各地域の生活文化を紹介しているとのことで、この日はちょうど「20世紀の映像百科事典をひらく 映像のフィールドワーク展vol.2 ひもをうむ、あむ、くむ、むすぶ」という企画展をやっていました。
績む・編む・組む・結ぶ・撚る・綯う・織るという「ひもづくり」にまつわる古い映像の展示や、手仕事で作られてきたモノの展示を楽しめるほか、奥のテーブルでは紙を使って紙縒(こより)を作ってみるミニコーナーも。しばし夢中になって楽しむことができました。
「生活工房ギャラリー」の並び、ちょうど3F〜4Fをつなぐ階段下の一角にも、なにやら興味深い棚が。
なんと「8ミリフィルム常設上映」と題されたこちらの展示では、かつて一般家庭に普及していた8ミリフィルムで撮影された市井の人々の様々な映像(ホームムービー)が常設上映されていました。
これは各家庭に眠る8ミリフィルムを収集・公開・活用し、映像をきっかけに想起・想像することの価値を再発見しようという『穴アーカイブ』というプロジェクトの一環だそう。来場者は、映像をきっかけに頭に浮かんだ思い出をカードに書いて自由に投書することができます。
上映はフィルムをデジタル化したものになりますが、懐かしい昭和の暮らしぶりや古い映像ならではの味わいは息子には新鮮、私にとってはグッと胸に迫るノスタルジーさがありました。
常設上映は2024年4月7日までになりますが、『穴アーカイブ』で収集した映像はWEBサイト『世田谷クロニクル1936-83』にもアーカイブされていますので、気になる方はそちらもチェックしてみてください。
「生活工房」内には、3Fに誰でもトイレがある他、3〜5Fの女子トイレにもオムツ交換台があります。授乳室は5Fのエレベーターホール前に「mamaro」が用意されていました。
5Fには「生活工房」の受付をはじめ、(公財)せたがや文化財団の事務局、劇場のチケットセンターなどもあり、困ったときはすぐ職員の方に声をかけられる点も安心ですね。
「いつも暮らしている場所を上から見てみよう」と息子を誘って、最後は2Fの奥まったところにある高層棟の直通エレベーターで26F「スカイキャロット展望ロビー」に向かいました。
この展望ロビーがすごいのは無料というところ。朝9時30分から23時まで誰でも気軽に出入りでき、のんびりと景色を楽しんだり、たくさん用意されたソファに陣取って休憩したりすることができます。
ロビー西側の展望エリアからは東京西部を一望でき、季節や天候によっては富士山が見えることも。一方レストラン側の展望エリアからは、都心の景色や東京タワーを望めるのだとか。夜景にも人気があり、花火大会の日などはロビーのソファを一時的に撤去して、大勢の観覧客に対応することもあるそうです。
2017年に「スカイキャロット展望ロビー」へとリニューアルされ、ロビーにはホテルオークラが運営する「レストランスカイキャロット」(11時〜22時)やカフェラウンジ「スカイキャロット」(10時〜22時)も併設。
オークラならではの料理を楽しめるレストランは、特別な日のディナーや貸切の宴会などにぴったり。お得なランチも人気です。
私と息子はカフェラウンジでコーヒー(500円)と、CREMIAというプレミアム生クリームソフト(600円)をいただきました。
これまで抱いていた「キャロットタワーは買い物するところ」という印象とはまた別の魅力に出会えた今回の散策。
とりわけ3〜5F「生活工房」エリアは随所にユニークなセンスが感じられる空間で、アート・イベント関係のチラシ類も充実。歩き回るだけで近隣のイベントや展示、ワークショップ情報のインプットになりました。
何よりもタワー全体が広々としていて歩きやすく、親としても気持ちが楽! 雨の日のちょっとした気分転換にも使えそうなので、ぜひ子連れ散策の選択肢に入れてみてくださいね。
(取材・文/古賀ゆに)
名称 | キャロットタワー |
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住所 | 東京都世田谷区太子堂4-1-1 地図を見る |
アクセス | 【電車】 東急田園都市線・世田谷線 三軒茶屋駅直通 【バス】 東急バス「渋05・渋11・渋12・渋21・渋22・渋23・渋24・渋26・渋82・黒06」系統 三軒茶屋下車・徒歩2分 小田急バス「下06」系統 三軒茶屋下車・徒歩2分 |
料金・参加費 | 無料 |
お問合せ | 以下に記載
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関連情報 | 「公益財団法人せたがや文化財団 生活工房(キャロットタワー3F〜5F)」 「スカイキャロット展望ロビー(キャロットタワー26F)」 |
駐車場情報・駐車料金 | 有料地下駐車場あり https://npd-time.jp/time/parkings/35529 ■駐輪場:有料駐輪場あり(1F/地下) |