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「旧尾崎テオドラ邸」洋館の喫茶室で心満たされるひと時を!超有名漫画家たちによるギャラリーも  世田谷区

2024.05.16

世田谷区豪徳寺。豪徳寺商店街を東急世田谷線に沿って進むと、少し入った住宅地に青い外壁の洋館「旧尾崎テオドラ邸」が佇みます。

2019年には老朽化のため取り壊しの危機に見舞われましたが、その後保存に向けたさまざまな経緯と補修期間を経て、2014年3月末に喫茶室・ギャラリーを要する新名所としてリニューアル。洋館の保存・補修を実現したのは、この洋館を愛する漫画家の山下和美さん、笹生那実さんをはじめとする漫画家たちや、保存のための署名やクラウドファンディングに参加した多くの人々の思いでした。

そんな数奇な運命を経て生まれ変わったばかりの洋館へ、息子と一緒に遊びに行ってみました。

築136年の歴史を誇る世田谷区最古の洋館へ

136年前の姿をイメージしつつ耐震性・24時間換気・防音性をプラス。庭は工事中(2024年3月末時点)

明治21年(1888年)英国生まれの令嬢テオドラのため、日本人の父である尾崎三良男爵により建てられた木造2階建の「旧尾崎テオドラ邸」。

当初は港区六本木にありましたが、1933年に現在の場所に移築。世田谷区では最古の洋館建築とされています。

戦後は共同住宅として貸し出され、写真家の島尾伸三さん・潮田登久子さんご夫妻と、その娘であるイラストレーターで作家のしまおまほさんが暮らしたことでも有名です。

テオドラ(右から2番目)は“憲政の神様”と称された尾崎行雄の妻。翻訳家として日本と西洋の架け橋になった

現在は保存活動の発起人となった漫画家の山下和美さん(『天才柳沢教授の生活』『ランド』)、笹生那実さん(『25月病』『薔薇はシュラバで生まれる』)を中心に、新田たつおさん(『静かなるドン』シリーズ)、高橋留美子さん(『うる星やつら』『めぞん一刻』)、福本伸行さん(『賭博黙示録カイジ』シリーズ)、高橋のぼるさん(『土竜の唄』)、三田紀房さん(『ドラゴン桜』)をはじめとする多くのレジェンド級漫画家たちが洋館の保存に賛同。「一般社団法人旧尾崎邸プロジェクト」を設立し、貴重な漫画原稿の企画展や販売などを通じて保存活動を続けています。

1Fショップに展示されたお宝すぎる直筆サインボード

そのスリリングな経緯は、山下和美さん著『世田谷イチ古い洋館の家主になる(全3巻)』に詳しく、洋館を訪れる際にはぜひ一読することをオススメします。

子連れでも大丈夫?チケットの買い方や注意点

洋館に入るには、事前にチケットぴあで日時指定チケットの購入が必要です。

チケットの発売は展示会期の1ヶ月前から。チケットの種類は、その時期の企画展を楽しめる「ギャラリー入場券(1,000円)」、企画展鑑賞と喫茶室の座席予約がセットになった「席のみ予約+ギャラリー(1,000円)」、ケーキやスコーンやサンドイッチをたっぷり楽しめる喫茶室でのアフタヌーンティと企画展鑑賞がセットになった「アフタヌーンティー+ギャラリー(5,950円)」の3種類。

入場時間は10時から17時の間で1時間ごとに指定でき、滞在は喫茶室が90分制、ギャラリー観覧は無制限となります。1回の予約で2名まで予約可能ですが、3名以上のときは複数回の予約が必要です。

その他にも以下のような細かな注意点がありました。

<注意点>
・全館キャッシュレス決済
・喫茶室のみ・ショップのみの利⽤は不可
・指定の入場時間から30分を過ぎるとキャンセル(返金不可)
・90分制のうち、終了時間の30分前が喫茶室のラストオーダー
・小学生以上はチケットが必要、未就学児は無料
・ベビーカーは使用不可
・エレベーター・エスカレーターなし
・専用駐車場、駐輪場なし

実際に子連れで行ってみてどうだったか


ちなみにわが家は、16時の「席のみ予約+ギャラリー」を1枚購入し、ギリギリ幼児の6歳男児を連れての来館となりました。

いわゆる“子連れフレンドリー”の施設ではなく、館内では展示されている漫画家さんのファンの方、洋館ファンの方がおのおの静かな熱を持ってこの場を楽しんでいる印象。その空気がたまらなく心地よいのですが、もしも息子が大騒ぎしてしまったらすぐに帰ろうと思っていました。

結果、洋館内の重厚感ある雰囲気を息子なりに感じ取ったのか、少し大人びた表情でこの場を楽しむ姿がありました。

取材時の『三原順の空想と絵本展』ではぬりえコーナーに集中

 

フォトスペースで撮影会ごっこ

個人的にはベビーカーが使えずオムツ替えや授乳スペースなどもないことから、赤ちゃんの同行はハードルが高めかな?と感じました。

けれど年長さんぐらいから小学生以上の子で、お座りしてゆっくりお茶ができたり、ある程度展示内容を楽しめそうな様子であれば、とてもいい経験になるのではないでしょうか。

洋館の中は別世界!英国風喫茶室とギャラリーで心満たされる

階段の手すりは136年前からのオリジナルのもの

館内では古い建物好きが高じた私は「すてき〜!」と大興奮。2019年に洋館の保存活動を知って以来、そばを通るたびに「中はどんな感じだろう?」と気になっていたのです。

元の洋館のつくりを活かしつつ丁寧に補修・リノベーションされた館内は、136年前の雰囲気をイメージして買い集めたという調度品もよく馴染み、静謐な美しさと深い温かみに満ちていました。

喫茶室にはアフタヌーンティやクリームティセットも

喫茶室は、翻訳家として東西の文化をつないだテオドラにちなみ、彼女が生きた時代の英国の食文化に着想したオリジナルのお菓子や、紅茶を中心としたこだわりメニューを展開。

私は山下和美さんがデザインしたオリジナルカップで供される、フレンチプレスで抽出された「旧尾崎テオドラ邸 オリジナル ブレンドコーヒー(1,000円)」を楽しみました。一方息子は、この日の企画展にちなんだ期間限定メニュー「スーパースペシャルウルトラマックスデラックスパフェ(1,200円)」をペロリ。

山下和美さんデザインのオリジナルカップ

 

三原順さんの代表作『はみだしっ子』シリーズのパフェを再現

喫茶室はレジやドリンクカウンターのある手前の部屋と、テーブル席が並ぶ奥の部屋の二間続きで、壁、床、天井、照明、大きな窓などどこを切り取っても絵になります。

なんとここと館内の一部スペースは、レンタルスペースとして撮影やパーティにも貸出ししているのだとか。気になる方はHPをチェックしてみてくださいね。

2Fギャラリーの企画展がすごい!サイン会の開催なども


2Fの階段を上がると受付があり、2間続きのギャラリーで企画展を楽しめます。

現在では約1ヶ月ごとに切り替わる企画展。その時々にもよりますが、なかなかお目にかかれないカラー原画や漫画原稿、書き下ろし原稿、作家さんの私物の展示など、ファンにはたまらない内容ばかり。さらに今後は写真展なども予定されています。

チケットは1ヶ月前から購入できるので、HPの開催予定をこまめにチェックすると良さそうですね。

住宅地の中で非日常を味わえる豊かな空間

漫画ファン垂涎のレアグッズが集まる1Fショップ

1時間ちょっとの短い滞在でしたが、非日常的な空間の中でのんびりと過ごすことができ、かなりリフレッシュできました。

1Fのショップでは、ここでしか買えない山下和美さんの同人誌や、さまざまな洋館にまつわるグッズ、近くのお菓子屋さんとコラボしたクッキー缶もあり、お土産にぴったり。

地域に根ざし愛される新たな文化発信地「旧尾崎テオドラ邸」。今後ますますの展開が楽しみです。

(取材・文/古賀ゆに)

基本情報

名称旧尾崎テオドラ邸(ギャラリー・ショップ・喫茶室)
WEBhttps://ozakitheodora.com/
営業時間10:00〜18:00(最終入場回16:00)
定休日木曜日(月1回 水曜日)
※休館日や長期休館は、年度ごとに変動あり
※開館日、開館時間、入場時間、入館料は予告なく変更する場合あり
住所東京都世田谷区豪徳寺2-30−16 地図を見る
アクセス小田急小田原線「豪徳寺」駅より徒歩約9分
東急世田谷線「宮の坂」駅より徒歩約6分
料金・参加費・ギャラリー入場料:1,000円
・喫茶室席予約付きギャラリー入場料:1,000円
・アフタヌーンティー付きギャラリー入場料:5,950円
※あらかじめ日時指定入場チケットの購入が必要(オンラインのみ、窓口販売なし)
※未就学児まで無料
※日時・枚数限定で当日チケットの窓口販売がある場合も(HP要確認)
※入館料・券種は予告なく変更する場合あり(HP要確認)
お問合せ

電話:03-6413-5413

 

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