◆食欲がない時にもおすすめ!日本古来の野菜“薬味”
こんにちは、旬八青果店バイヤーの松根です。
蒸し暑くなってきましたが、いかがお過ごしですか? 蒸し暑い日が続くと食欲も落ちてきますよね…。そんな時にうまく食事に取り入れていきたいのが薬味です。
ハーブを含めたくさんの種類の薬味が出回っていますが、薬味と言われるものの多くは日本に古来からある野菜だってご存じでしたか?
現在私たちが日々口にする野菜のほとんどは、海を渡ってやって来たもの。日本に古来より伝わる野菜はなんと20種類ほどなんです。そしてその中の多くが、山菜や薬味と言われるものになります。
食欲の落ちやすいこの時期だからこそ、薬味で風味をプラスして食欲を上げていきましょう!
そこで今月は、蒸し暑くなって食欲の落ちやすい時期にピッタリな、日本に古来からある薬味を紹介させていただきます。
◆実は柑橘の仲間「山椒」
独特の香りと清涼感、そしてピリッとした辛味が美味しい山椒。
あまり知られてないですが、山椒はミカンと同じ仲間の柑橘。よーく見るとすだちを小さくしたみたいですよね。生の山椒をかじった時に感じるあの独特の清涼感は柑橘ならでは!
乾燥の実が粉末になったものや花山椒はなんとなく馴染みがあるかと思いますが、山椒の葉は“木の芽”として「つま」やハーブのように使われたり、また実や幹もスパイスとして食べられるという、すべてを食用にできるすごい薬味なんです。
山椒の粉は1年を通して出回りますが、生の実や葉が出回るのはこの時期だけ! ぜひ、旬ならではの生の実の清涼感を味わってみてください。
生と言っても食べ方がピンとこないかもしれませんが、山椒はそのままでも美味しいのです。
冷や奴やカルパッチョに数粒乗せて食べたり、炒め物に少し混ぜたり、味噌汁に浮かべたり。
もちろんそのまま味わうのもおすすめ。
また山椒の独特の香りと清涼感は、肉や魚の臭み消しとしても使えます。
焼いた肉や魚、またBBQの味付けの一つとしても活用してみてはいかがでしょうか?
◆野菜の中では珍しく花芽を食べる「ミョウガ」
独特の香りと食感が美味しいミョウガは生姜の仲間。
私たちがミョウガと聞いて思い浮かべるのは、花の部分。そう、実は花を食べているんです。そのため、産地では「花ミョウガ」と呼ばれています。
ミョウガはタケノコのように、地下茎と言われる地面に伸びる茎から地上に向けて花芽を出します。その花芽を収穫して出回っているものがミョウガ。また、ミョウガの茎を日に当てないように育てた物を「みょうがたけ」と言います。
この時期、なんとも言えない辛みと風味は食欲をそそりますよね!
千切りにしてそうめんや冷や奴と食べるのはもちろん、今が旬のナスと一緒に煮て食べたり、ピクルスや醤油漬けにして食べたり、味噌などをつけて丸ごといただくのも美味しいんです。
ここから秋にかけて出回る量も増えてくるので、丸ごとも試してみてください。
◆生でも美味しい!「らっきょう」
らっきょうは彼岸花と同じ仲間。らっきょうは昔から血液を綺麗にしてくれると言われており、一時期メディアでもたくさん取り上げられていたぐらい。
らっきょうと聞くと漬物のイメージが強い野菜ですが、生でも美味しく食べられます。
よく居酒屋で味噌をつけて丸かじりするエシャレットは、らっきょうを少し若いうちに収穫したもの。つまり、らっきょうも同じように生で丸かじりできちゃうんです!
今年はぜひ、生のらっきょうもチャレンジしてみてください。
その他にもおすすめは、天ぷらや、フライパンやオーブンで焼き目がつくまで丸ごと焼いたり、炒め物にしたり…ゆっくり火を入れることで、らっきょうがモッチリとした食感になりますよ。
◆薬味をもっと楽しむ!
昔から日本ではその植物の持つ旨味、辛み、苦味、香りと上手く付き合ってきました。薬味独特の持ち味を楽しめるのは日本人ならではだなーと個人的に感じています。
また薬味独特の味や香りは、旬のこの時期だからこそ美味しく感じるものもたくさん。生でも美味しく食べられるものも多くあるので、まずはそのままの味と香りを楽しんでみてください。
また、単品で楽しんだ後にぜひチャレンジしてもらいたいのが「合わせ薬味」。合わせることで薬味をもっと美味しく食べられるのです!
独特の香りや辛味・苦味が美味しい薬味も、ミックスすることで強すぎる辛味や苦味が打ち消しあって和らいだり、香りと味が混ざることによって単品で食べるよりもグッと味の深みを感じられます。
好きな薬味を3〜5種、細かく刻んで混ぜるだけで、この時期にぴったりの合わせ薬味の完成!
暑くなってきたら食べたくなる素麺、蕎麦、うどんに乗せるだけでもちょっと贅沢なお料理に。麺類はもちろん、刺身、ご飯、冷や奴などに少し乗せるだけで見た目も味も華やかになります。
またこの合わせ薬味を、今からが旬のナスやキュウリ、オクラなどの夏野菜を刻んだものに少し醤油で味付けすることで、山形の郷土料理「だし」を作ることも!
この時期ならではの味と香りで夏バテを防ぎながら、日本人が古来より食べてきた薬味。
ここぞとばかりに楽しんでくださいね!
■今回の執筆者
松根 拓乃(株式会社アグリゲート 仕入・卸事業部 バイヤー)
鯉淵学園農業栄養専門学校卒。鯉淵学園では、農作物の知識、栽培方法等、農業、農産物について学ぶ。現在は株式会社アグリゲート 仕入・卸事業部で青果知識・商品知識に長けた生産者と消費者を繋ぐバイヤーとして日々仕入れを行う。以前は、販売事業部にてデリカ・飲食グループのメニュー開発も担当。