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本当に働きやすい環境とは何か

2018.10.14

働き方改革という言葉がちらほら聞かれる昨今ですが、実際に働き方って改革されているのでしょうか?

総合人材サービス ランスタッド株式会社の研究機関であるランスタッド・リサーチインスティテュート(RRI)は、「働く」と「働く人」の環境にフォーカスした研究機関で、働き手の考えや時流、社会的な環境の変化を見極めながら、年に4回日本の働き手を対象とした意識調査を行っています。

2018年は「我々が本当に働きやすい環境とはいったい何なのか」というテーマに沿って、「働く環境と理想の上司に関する調査」を実施しました。(対象者:ビジネスパーソンと2019年新卒入社内定者)

すでに働いている人と、これから社会に出ていく人への意識調査をすることで、世代間、性差の意識のギャップを浮き彫りにし、問題点を洗い出し、解決法を探り、よりよい働き方を企業視点、労働者視点ともに考えて行こうというものです。

2018年10月10日に、調査結果発表とともに、事例を交えた対談形式の「ランスタッド・プレスランチョン」が行われました。働きながら子育てをする上で快適な労働環境は、欠かせません。ココフル編集部も興味津々で参加してきました。

◆「会社の業績」や「給与レベル」よりも「職場の雰囲気」や「やりがい」を誰もが求めている

調査結果発表では、直属の上司の年齢や性別の希望、上司に期待することなど、ビジネスパーソンと入社内定者や、性差で意識に差があるという興味深い内容を聞くことができました。


▲調査結果を発表するランスタッドマネージャー寺島千恵子さん

特にココフル編集部が注目をしたのは、「勤務先の選択基準」と「勤務先の環境に望むもの」という項目です。

勤務先を選択するにあたり、大切にしている基準は、内定者・社会人ともに「社員が良い雰囲気で働いている」「やりがいのある仕事ができる」でした。

「会社の業績」「や「給与レベル」よりも、「職場の雰囲気」や「やりがい」を誰もが願っていることがわかりました。

◆「子育て・介護中にも働き続けられる制度」を男性はそれほど求めない?

また、「勤務先の環境に望むもの」として、内定者・社会人ともに「有休のとりやすさ」が最も割合が高く、トップ3には「フレックスタイム制度などの柔軟な勤務体系」がランクイン。

しかし、社会人は「多様な働き方を受け入れる文化」が3番目に上がったのに対し、内定者の男性は「インフラ面の充実を」重視するという結果でした。インフラさえ整っていればどこでも働けると考える内定者と社会人との違いが観られる結果となりました。

また、20代~30代の約6割の女性が「子育て・介護中にも働き続けられる制度」を挙げていたのに対し、社会人の男性の平均値はなんと2割以下。残念ながら性別役割分担の考えが根強く残っていることが浮き彫りになりました。

◆子連れ出勤で、長く働ける環境を創出

こういった内容を踏まえた上で、第2部ではトークセッションが行われました。登壇したのは、ソウ・エクスペリエンス株式会社西村琢社長と各業界内定者3名です。


▲西村社長(左)と川西由美子さん

コーディネーターはランスタッド株式会社EAP総研所長川西由美子さんです。

ソウ・エクスペリエンスは、「モノではなく、体験を贈ろう」と「体験ギフトを制作・販売」しているユニークな会社です。ユニークなのは、売っているものばかりではありません。

ソウ・エクスペリエンスは、子連れ出勤可能な会社として知られています。日々、5,6人の子どもがフロアにいる状態だそう。

社長である西村さんは、現在7歳と4歳の子の父親。積極的に子育てにかかわる中で、子連れで来た方がむしろ楽だ、早い、と判断して子連れ出勤することがよくあったそうです。その経験から、社員に対しても子連れ出勤可としています。

殊にユニークなのは保育士のいる託児付き職場というのとも違い、フロア全体でみんなの子どもたちを見ているということ。母親一人の目に任せるのではなく、社員全員で子どもを見ることで、子どもも社会性が育ち、大人も子どもに対する客観性が育つことでしょう。昔当たり前であった「地域で子育て」といった意識に近いものかもしれません。

◆細く長く働き続けたほうが、企業にとっても従業員にとってもハッピー

「一方的にやらせる制度では、現代の多様的社会についていかない」と西村社長。

社員に少しでも長く働いてもらうためには、フルコミット前提ではない働き方がいいのではないかと考え、時短勤務、自宅勤務、育休、週に2~3日など、自由な働き方などを認めているそうです。

毎日出社しなくてもよい。時間が短くてもよい。副業、リモートワークもOK。「それでもやめずに働き続けてくれた方が、企業にとっても新しく人を雇うよりずっとメリットがある」と西村社長は言います。働く側にとっても、環境を変えずにノウハウを生かして働くことができます。子育てや趣味など、ほかのことにも注力しつつ働けることで、余裕が生まれ、新しいアイデアが浮かぶ余地ができます。

◆気持ちのいい空間でないと、いいものは作れない

「長く働く」ということについて、内定者はどのように考えているでしょうか。


▲ちょっぴり緊張気味の内定者3名

「長く働くことで賃金が上がる」「(キャリアが分断されないので)仕事が円滑に進む」といったプラスのイメージの一方で、「あまり長く働くというイメージはない」といった感想も出ていました。

「長く働くと気負う必要はないんですよ。職場の雰囲気がよく、子どもがいても子連れ出勤をしたり、しばらく休職をすることで、長く続けられて、結果的に気づいてみたら長く勤めていたというような職場が一番理想的なのかもしれませんね」と川西さん。

このほか西村社長は、社内では、コミュニケーションをとることを大切としていると語りました。

「グッドニュースはたくさん言おう。バッドニュースは早く言おう」と声をかけ、リスクにはすぐに対処できるような雰囲気作りにも注力しているそうです。

社長業をこなしながらも趣味はサーフィンとアフリカ旅行と、オフタイムも充実している様子の西村社長。「気持ちのいい空間でないと、いいものは作れないんですよ」という言葉が印象的でした。

◆人に燃えてもらう仕組みを作る

この後株式会社HR Brainの代表取締役社長の堀浩輝氏が登壇。


▲株式会社HR Brainの代表取締役社長堀氏。

HR Brainは、経営の背骨である目標と評価の運用を効率化するシステムを提供することで、企業の効率化改革をサポートしています。

人事の評価というのは、とても難しい一方で、自分の仕事に対して正当な評価を受けられないと、モチベーションは下がってしまいますね。評価の仕組みを間違えれば人は職場から離れて行ってしまうでしょう。また、上司と部下のコミュニケーションが進捗報告のみでは人の心は疲弊してしまいます。

HR Brainは、人の心から離れているシステムを作るのではなく、コミュニケーションを良好にしたり、やる気を起こさせるための仕組み作りで、高い評価を得ています。(2017年HR Brainをリリース。「Forbes起業家ランキングRising Star Award」3位入賞)

◆良好なコミュニケーションあっての「システム」であり「制度」である

今回、働く環境について一歩リードする企業の社長が、お二人とも職場の環境にとって最も大切なことについて「良好なコミュニケーション」を挙げていたことは、考えさせられました。

いかに気持ちよく、楽しく、効率的に、長く仕事ができるか。どんなすばらしい制度もシステムも「良好なコミュニケーション」が基盤になければ機能しない。お二人は奇しくも同じことを発言していたように思います。

これは、職場だけではなく家庭についても同じことが言えるのではないでしょうか。職場でのこういった改革、考え方が家庭にまで浸透すれば、家庭という一つのチームも「一人だけが疲弊する」「誰も話を聞いてくれず、やる気が起きない」といった問題が起こらず「全員が動いて、楽しく、家庭を運営する」という理想の形ができてくるのではないかと感じられました。

(取材:文 宗像陽子)