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出産直後から積極的な育児参加で、父親も幸福感を得られる!

2019.01.22

第2回「乳児用液体ミルク」メディアセミナーレポート』で、「グリコの乳児用液体ミルク『赤ちゃんミルク』製品化の現状」についての報告をしました。

今回はその続きとして、『第2部 乳児用液体ミルクメディアセミナー事務局主催「男性の育児参加と授乳のススメ」』の報告をしたいと思います。

第2部では、大正大学 心理社会学部 人間科学科 「田中俊之」准教授による、男性の育児参加と授乳の重要性や、育児に関する男女格差、今後、男性が父親としてどう育児に関わっていくべきなのかについての提案でした。


▲大正大学 心理社会学部 人間科学科 「田中俊之」准教授

◆人間の赤ちゃんは何もできない状態で生まれてくる

大抵の動物に言えることですが、赤ちゃんというのは生まれてすぐに一定の活動ができるものです。例えば、子馬であれば生まれて数時間後には走り回りますし、母馬の母乳を自分で探して飲みます。

対して、人間の赤ちゃんは何もできない状態で生まれてきます。

母親や父親から授乳されないと栄養を摂れないのはもちろん、生まれてから1年近く経たないと歩行できません。このように他の動物とは違い、何もできない状態で生まれてくることを「生理的早産」と呼ぶそうです。人間の赤ちゃんは、まさにこの「生理的早産」。
自分では何もできない赤ちゃんにとって、「授乳」がいかに重要な行為であるかが分かりますね。

◆育児参加しない父親は、赤ちゃんにとって「ほぼ他人」!

父親の悩みとして
「(子どもが)ママ、ママとばかり言って、パパには反応してくれない…」というのはよく聞きますね。

田中准教授によると、これは赤ちゃんの正常な反応だそうです。

というのも、発達心理学の知見では、赤ちゃんの成長過程は大きく3つ。

1. 生後〜3カ月…誰に対しても何らかのサイン(泣いたり、見つめたり)を示す
2. 3カ月〜6カ月…特定の対象(頼るべき相手)を徐々に認識する
3. 6カ月〜2,3歳…人見知りが始まり、特定の対象にのみサインを示す

特に重要なのが生後から3カ月までで、赤ちゃんが他人を愛着の対象として認識する期間とされています。

つまり、3カ月までに十分に関われていないと、赤ちゃんにとって愛着の対象として外れることに。先ほどのような父親によくある悩みですが、赤ちゃんから「ほぼ他人」と認識されているのが1つの原因ということです。

◆父親の育児時間(平日)は2時間程度しかない

北欧に比べ、日本の父親の育児休暇取得率はかなり低いとのことで、生後すぐの取得率はさらに下がるのだとか。

その上、父親の育児時間について調査すると、

・平日…2時間11分
・休日…5時間39分

平日の育児時間は2時間程度と、休日に比べて半分以下しかありません。

生後初期の段階はもちろん、その後の育児にも携わっていないのに、「ほぼ他人」として認識されてから慌てて参加しても挽回するのは難しいとのことです。

◆日本社会が女性の我慢を前提に回っている

赤ちゃんから愛着の対象として認識されるために、父親が積極的に育児休暇を取得すれば良いかと言われると、実はそれだけで解消できる問題でもないようです。

田中准教授によると、「日本社会は女性の我慢を前提に回っている」とのこと。

事実、父親の育児内容を調査すると、

・お風呂…81.0%
・遊ぶ…80.7%
・オムツ替え…80.0%
・家事…63.3%
・寝かしつけ…61.3%
・調乳…61.0%
・お出かけ…60.0%
・授乳…54.3%
・送り迎え…20.0%
・離乳食作り…14.3%
・特になし…2.3%
・その他…0.0%

のように、お風呂や遊び、オムツ替えなど比較的手間のかからないものが上位に。反対に、授乳や送り迎えなど手間のかかるものの割合は下がっていることが分かります。

面倒なことを押し付けていたのでは、いくら父親が育児休暇を取得しても赤ちゃんから愛着を持たれることは難しく、それどころか、母親との育児格差は広がり不満は増すばかりでしょう。

「自分がやって面倒なことを、人に押し付けるのは、会社でも家庭でもNGなんです」と田中教授。

◆そもそも父親が育児休暇を取得しづらい環境にある

北欧に比べ、日本の父親の育児休暇取得率は低いとのことですが、これは仕方のない問題でもあります。

男女の賃金格差を北欧と日本で比較すると、

・・・男性  女性
北欧    100    90
日本    100    70

※男性を100とした時の、女性の賃金の比率を表記しています。

北欧では男女の賃金格差はほとんどなく、日本ではいまだに一定の格差のあることが分かります。

赤ちゃんが生まれ、どちらが育児休暇を取得するかの段階になると、母親が取得した方が経済的には安定することに。そもそも父親が育児休暇を取得しづらい環境にあることも、男女での育児格差を広げる要因なのです。

◆授乳の頻度の高い父親ほど、育児の幸福度は高くなる

「育児」に関して、日本社会が母親に頼りっきりなのは問題ですが、父親にもできることはあるはずです。

そこで田中准教授は「省略化できることはしておくべき」と提案。

例えば、田中教授はお子さんが生まれて直後は、すべての食器を紙皿紙コップにして、家事の省力化をはかったそうです。もったいないという意見もありますが、そのくらいの気持ちがないと生活が回って行かないといいます。

また、田中准教授は授乳や抱っこなど、より直接的なコミュニケーションが育児では重要で、父親にも積極的に関わってほしいと感じているそうです。

授乳や抱っこによる直接的な関係性を通すことで、赤ちゃんは父親を信頼し、父親は父親になっていくとのこと。

さらに、授乳の回数と育児の幸福度(幸せを感じているか)を調査すると、

・1日に複数回以上…65.3%
・1日に1回程度…40.2%
・2〜3日に1回…50.0%
・週1回程度…48.5%
・それ以下…39.4%
・まったくない…27.8%

のように、「1日に複数回以上」と「まったくない」とでは、幸福度に2倍以上の差があるそうです。

育児で授乳を経験することで、父親側にも「幸福感」というメリットがあるということ。父親も積極的に抱っこをしたり、授乳をすることで、より幸福感を味わってほしいですね。

◆赤ちゃんが夜泣きしても父親は起きない…

育児あるあるとして、

「赤ちゃんが夜泣きしても父親はちっとも起きない…」
という母親の不満があります。

人間ですから眠いのは当たり前で、昼間仕事をして疲れているだけに起きにくいのは仕方のないことです。しかし、母親も昼間は家事に育児、さらに父親と同様に仕事をしている方もいます。

田中准教授としては、ぜひ夜こそ父親が授乳をして、母親の負担軽減、赤ちゃんとの関わりを持ってほしいのだそう。

ただ、父親の多くが授乳や調乳に対して、
「自分の役割ではない」
「粉ミルクの作り方が分からない」
「粉ミルクの計り間違いが心配」
などの不安を抱えているようです。

「液体ミルク」を利用することも家事の省略化の1つですね。
わざわざお湯を沸かす必要も、ミルクの分量を計る必要もありません。初めて授乳する父親でも、哺乳瓶に液体ミルクを注ぐだけと簡単なのも魅力的です。

さらに、田中准教授は「1人の父親として思うことは、この商品(液体ミルク)が安心で安全だということが大きい」とも。

液体ミルクを利用するかは別にして、育児の負担を母親にばかりかけるのではなく、父親としていかに赤ちゃんと関わっていくかは考えていくべき問題と言えます。

◆2カ月の我が子との関わりを振り返って…

筆者自身、生後2カ月の赤ちゃんを持つ父親として、今回の「男性の育児参加と授乳のススメ」のセミナーには考えさせられる事ばかりでした。

特に、田中准教授の
「日本社会は女性の我慢を前提に回っている」
「赤ちゃんが夜泣きしても父親はちっとも起きない」
という指摘は胸にグサッと刺さるものがありましたね。

ありがたいことに筆者は在宅勤務なので、一般的な父親と比べると我が子の側にいる機会が多いです。それでも、どれほど育児に参加できているかと聞かれると、決して十分とは言えません。

今後、赤ちゃんとの直接的な関係性をどう築いていくか、妻の負担軽減をどう進めていくかは、夫として父親として真剣に考えるべき課題であると思います。

(文:堀本一徳)