環境に配慮する商品を扱うパタゴニア日本支社から新しいビールが発売されると聞き、試飲会に行ってきました。
「パタゴニアと言えば、アウトドア用品の会社では?ビールとは?」と思う方もいるかもしれません。実は、パタゴニアは、日本では2016年秋から食品事業を進めています。
冒頭、パタゴニア日本支社の辻井隆行支社長が、パタゴニアの事業について語りました。
▲パタゴニア日本支社長辻井隆行氏
パタゴニアは、1973年に創業を開始しました。事業を続けている中で自然の変容を目の当たりにしてきたこともあり、パタゴニアには二つのこだわりがあります。
一つは洋服を作る上ですべての素材の環境にマイナスのことを最小限に抑えること。もうひとつは、フェアトレードに取り組むということ。
ただし、昨今の気候変動で、自分たちの置かれている状況は脅かされています。パタゴニアではさらに新たなミッションを掲げました。
「これから地球上で自分たちとほかの生命が生きていくためにできることをビジネスを通して行う」
そのために、2025年までに普段のオフィスだけではなく、工場や農家も含めすべてのつながりをもつところで、カーボンニュートラルを実現するということ(排出されるCO2 の量と吸収されるCO2の量が変わらないようにすること)それに先立ち、2020年までに再生可能エネルギー100パーセントという目標を出しました。本当に持続可能な社会にするために、環境を再生する方向に行きたい。その一つが「パタゴニア プロビジョンズ」という食品事業です。
■おいしく食べて飲んで、地球を救う
▲パタゴニア プロビジョンズ 近藤氏
「パタゴニア プロビジョンズ」は2016年から事業を開始しており、現在16種類の食品を販売しています。
現代の食品産業は、「より早く、より安く、より遠くへ」を重視するあまり、気候変動を悪化させていく大きな要因になっています。「パタゴニア プロビジョンズ」は、環境を再生する農業や漁業をサポートすることで、故郷である地球を救う事業を展開しています。
例えば、ビールは、「ロングルート」=長い根を張る多年生穀物「カーンザ」を初めて世界で商品化したものです。
土を健康にする「カーンザ」から生まれたビールは、普通のビールとは少し違います。土を耕さずに成長するので、大気中からより多くの炭素を土に封じ込め、土壌内の生物の多様性を回復させることができます。
今回新しく発売になった「ロング・ルート・ウィット」は、「ロング・ルート・ペールエール」に続く商品です。
■パンチの効いた「ペールエール」と、フルーティーで爽やかな「ウィット」
どれだけ、環境にいい商品と言っても、おいしくなければ誰も手に取りません。そこで、「ロング・ルート」は味にもこだわっています。
パートナーとして組んでいるのはポートランドのHopworks opworks Urban Breweryという醸造ブルワリーです。2007年にクラフトビールのメッカ、ポートランドで誕生したブルワリーで、環境を保護するコミュニティを守りながら世界基準のビールを作っています。
「ロング・ルート・ペールエール」=右側の青い缶のビールは、カーンザ特有の穀物の苦みを生かした、少しパンチが効いた味わいです。アルコール成分は5.5%
「ロング・ルート・ウィット」=白い缶は、今回新発売のビールです。とても爽やかでフルーティーな味わいでした。伝統的なベルギー風の白ビールにアメリカ北西部風にアレンジ。オーガニック小麦とオーガニックホップにコリアンダーとオレンジの皮を加えて醸造しています。スポーツのあとでもさっぱり飲める感じですね。アルコール分4.9%
「パタゴニア プロビジョンズ」では、ビールだけではなく、他にも食品を出していますが、どれも環境に配慮された商品であること、その上手軽に食べやすいことが特徴です。
常温保存が可能で、開封したらすぐに食べられるか、もしくは熱湯をそそぐだけで食べられるものばかり。
今回、試食をすることができましたが、どれも優しい味で、とてもおいしくいただきました。
試飲会では、なるべくゴミが出ないように紙ナプキンを使わず晒の布(持ち帰り可能)であったり、使い捨てスプーンの代わりに料理を乗せたムール貝の貝殻をスプーン替わりに使うなどの工夫もあり、とても好感が持てました。
私たちが地球にできること。それは意外と身近にあるものです。環境に配慮されたものを着る、食べる。そんな一歩からまず環境問題に触れてみませんか。子どもたちの未来が明るいものであるように負の遺産を残さないことは、私たち大人の責任ですね。