新型コロナウイルス拡大を受け、近頃増えてきたオンラインレッスン。調べてみると、オンラインで遊べるイベントもたくさん。皆さんは、もう何か参加してみましたか。
ネット環境がいいかどうかわからない。ちゃんとできるか不安。自分だけ遅れたり、できなかったらどうしよう。いろいろな気持ちで参加しづらい人も多いかもしれませんね。
本日は、杉並区でお料理教室「つづくらす食堂」を開催している河野真希先生にお話を伺い、オンラインレッスンってどんな感じで行われるのか、リアルとどんなところが違うのかメリットデメリットについても伺いました。
▲河野真希さん
河野さんは、2016年からリアルのお料理教室を主宰していましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためレッスンは3月より自粛。その間にまず生徒さんにアンケートをとり、その結果をふまえながら、5月にトライアルで2回のオンラインレッスンを行い、6月からは本格的にオンラインレッスンを導入することにしたそうです。
以下、ココフル♪編集部が河野さんにインタビューしました。
―オンラインレッスンを始めるにあたって、どんな不安がありましたか。
たくさんありましたが、まずは一緒に料理をすることから生まれる人と人との交流を大事にしていたので、オンラインでもそれが実現できるのかが一番の課題でした。そのほか、支払、メニュー、ネット環境、集客など細かいところはたくさんありました。
▲リアルでは品数も多く、ワイワイガヤガヤ盛り上がっていた。
―なるほど、それらをクリアするように、考えて行ったのですね。リアルと違うオンライン教室の流れを教えてください。
リアルでは、当日支払いでしたが、オンラインでは前払い。支払方法は複数用意し、なるべく外出しなくて済むようにしました。支払確認後に、揃えておいてほしい材料と調理器具をまとめて資料をPDFで送ります。レシピとZoomのURLをレッスン直前にPDFで送り、時間になったらZoomにつないでもらい、講師の調理を見ながら、一緒に作ります。
―オンラインで教室を行うにあたり、撮影ではどのような工夫をしましたか。
パソコンとスマホの映像を二台用意。スマホでは真上から調理中の手元を撮影。パソコンはあいさつやレシピの説明時に顔を合わせて話すために使い、その後はパソコンの画面を見ながら、調理中のみんなの進み方をチェックしました。
―食材やメニューは、リアルとオンラインでは変わりましたか。
リアルでは、4,5品作っていましたが、オンラインでは時間も短いので2品程度になります。
どこのスーパーでも手に入りやすい食材を使うこと、特別な調理器具を使わないことを心がけました。レッスン中にお子さんが参加したがる可能性を考えて、子どもと一緒にできる作業(キノコをほぐす、挽肉をこねる)があるメニューにしています。
また、事前のアンケートで「他の人から遅れたらどうしよう」という心配の声が上がったので、少しでも手間がかかりそうな作業(例えば、玉ねぎのみじん切りなど)は事前にやっておいてもいいといった細かい指示を事前資料に書いておきました。
―人によって進捗のスピードが違うから、それは遅い人にとっては助かりますね。ネット環境についてはいかがでしょう。
万が一インターネットがつながらなくなってしまった人のために、レッスンの様子を録画しています。
―実際オンラインレッスンをトライアルしてみて、講師側のメリットをお教えください。
今は子どもが常に家におり、片づけや掃除に手が回らないのですが、そこを気にしなくていいのは、とても気が楽でした。
私は食材をたくさん用意しなくてすみますし、事前の準備や後片付けの負担が軽くなります。前払いにしてもらうことで、直前キャンセル、無断キャンセルの不安が減り、食材の無駄が出る不安がなくなりました。短時間のレッスンを予定しているので、隙間時間でできたり、変則的な時間のレッスンも開催しやすい。今までは家族に気兼ねして週末にはレッスンができなかったのですが、自宅の一部スペースだけでできるので、オンラインなら週末でもレッスンができるなと感じています。家族の病気や天候などによる休講の不安が少なくなったのも大きなメリットです。
―たくさんメリットがありましたね。
今までよりも多くの人数で一度にレッスンも可能になりますね。
―デメリットはありますか。
低料金にせざるを得ないこと、料理の幅が狭まってしまうことや、手持ちの調理器具や料理の技術がバラバラなので、本当に簡単なものが中心になりそうです。事前連絡が以前より多いので、ミスをしないように気を付けないといけません。インターネットの不具合も不安ですね。
―トライアル参加者からは、どんな声が出ましたか。
「料理が下手でも、失敗しても、誰にも見られないから、普通のレッスンより参加しやすいかも」
「リモートレッスンはどうかと思ったけれど、想像以上にわかりやすくて良かったし、遠くからでも参加出来るし、移動もないしで、意外とアリ」
「家族以外の人と話せてよかった」
「事前に用意ができたので、レッスンが受けやすかった」
といった意見が上がっていました。
▲小学生の坊やが挑戦!わかりやすい説明でバッチリ完成したそうです。
―好評ですね!今後、緊急事態宣言が解除されても、オンライン教室を続ける予定はありますか。
はい。料理教室は“食べる”“しゃべる”というのがメインの場なので、感染への不安が拭えない以上、今はオンラインでやるべきかと思っています。けれどもメリットも大きいこともわかったので、今後安全が確保された以降もリアルとオンラインを併用していこうと思います。
―何か、参加者に対し、こうした方がよいよというようなことはありますか。料理教室にとどまらず、オンラインレッスンの参加という意味でも結構です。
ご自身で必要なものを用意していただかなければならないレッスンは、早めのお申し込みや準備をおすすめします。準備中に困ったことがあれば、すぐに相談すれば代替案などが出せることもありますが、直前では間に合わないことがあります。
また、オンラインレッスンだと全員の声が聞こえないことがあります。「大丈夫ですか?」と聞いたときに、ジェスチャー(OKや〇、×など)で示してもらえるとスムーズですよ。
―準備は早めに。反応はハッキリ。ですね!
私自身、オンラインレッスンでも、想像以上にみんなで料理を作ることの楽しさは伝わることがわかりました。皆さんも思い切って参加してみてください!
―つづくらす食堂に限らず、いろいろな講師の皆さんも、オンラインならではのメリットを生かしていい内容のものを作ろうと試行錯誤されている現状だと思います。講師と生徒が知恵を出し合って、新しいいいレッスンができるといいですね。そして、安全が確保されたら、リアルとオンラインをその時と状況によって選択できる、そんな新しい日常が早く来るといいですね。今日はありがとうございました。
(取材:宗像陽子)
協力
杉並区で料理教室「つづくらす食堂」