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この冬を、快適で衛生的な室内空気環境に保つために必要なこと

2020.12.10

外に出るときはウイルス対策としてマスクを装着するという新しい生活環境に慣れてきた私たち。しかし、「外は汚染されている。室内は安全」という思い込みはないでしょうか。

コロナ禍でインフルエンザシーズンも到来しています。
「この冬を快適で衛生的な室内空気環境の保つために今知っておくべきこと」がテーマのセミナーに参加してきました。

登壇したのは、帝京大学大学院槇村浩一教授です。

プロフィール

槇村浩一
帝京大学大学院医学研究科 医真菌学宇宙環境医学 教授

室内環境は安全なのか

実は空気の汚染は、屋外だけではありません。室内にもホコリ、ハウスダスト、ダニ、花粉、カビ、細菌、ウイルスなどたくさんの有害因子があるのです。

なぜ屋外は汚染されていて、屋内は安全という思い込みがあるのでしょうか。ひとつには「環境基準」があるかもしれません。

私たちの周りには、健康への影響が心配される有害因子がたくさんあり、安全に暮らせるように環境基準が決められています。例えば、騒音であったり、二酸化炭素であったり、排気ガスであったり。すべて環境基準が決められて、快適に安全に暮らせるように配慮されています。ところが生物粒子に対しては環境基準が決まっていないそうです。確かにダニやホコリが多いからこの家は基準外!という言い方はしませんね。

生物粒子(ホコリ)成分には、ハウスダスト、ダニ、花粉、カビ、細菌、ウイルスなどが含まれます。

一言で生物粒子といっても、大きさはダニとウイルスとでは大違い。ダニは0.3mm程度の大きさですが、新型コロナウイルスは、1/100mmのそのまた1/100くらいの大きさです。

生物粒子は体にどういう影響を与えるか

室内の生物粒子は、体にどういう影響を与えるのでしょう。ハウスダストやカビ、酵母、キノコはぜんそくや止まらない咳の原因に。ダニ、チャタテムシは、ぜんそくやアナフィラキシーショックの原因に。花粉は花粉症の原因になります。細菌やウイルスは、市中肺炎の原因になります。四季を通じて何らかの生物粒子が発生し、健康を損なう原因となっているのですね。今年いきなり発出した新型コロナウイルスもそんなウイルスの一つです。

家の中にキノコはないでしょう?と思った方いるかもしれませんね。実はキッチンの排水溝で生えたキノコから胞子が浮遊し、アレルギーの原因となった例もあるそうです。

生物粒子を除去するにはどうしたらいいか

こういった生物粒子(ホコリ)を減らすにはどうしたらいいのでしょうか。

洗う

最も安全で確実な方法は微生物を洗浄して除去すること。だから手洗いは有用なのです。100%は取れなくても、それでいいそうです。

個体の表面についたものは洗い流せばいい。一定量よりも多い微生物が我々にさらされない限りアレルギーはおこりません。手は洗えばいい。衣服も洗濯すればよいのです。

一方、人がいる空間の空気を完全に消毒できる方法は存在しません。

消毒には限界がある

こす

ろ過して、ごみを取り除く方法です。マスクがこれに当たります。

空間の微生物を除くには、空気清浄機でろ過をするしかないそうです。

空気清浄機は、どの程度微生物粒子を減らすことができるか

2020年9月に槇村先生とダイソンは共同で、空気清浄ファンがどのくらい実際の生活環境で微生物粒子を減らすことができるのか、実生活に近い環境で調査しました。

実験を行ったのは、老人ホームで隣接する3部屋です。換気をしない部屋、空気清浄ファンを稼働している部屋、そして普通の扇風機を置いた部屋に分け、居住者に許可を得て数値を計測しました。

【方法】

3部屋とも1時間閉め切っておき、5分だけ換気します。その後1時間おいてから空気清浄ファンもしくは扇風機を1時間稼働します。それから1時間閉め切ってまた5分換気をします。

その結果、窓を開けて換気をすると、PM2.5の数値が急激に上がり、換気によって空気環境がむしろ悪くなってしまいました。窓を閉めると急激に数値は落ちます。びっくりしますね。

窓を閉めて空気清浄ファンを稼働すると、その部屋だけが粒子の数が80%減少します。止めると元に戻ります。

暮らしの空気を安全に保つために

以上のことから、冬の暮らしの空気を安全に保つためにできることを、まとめておきましょう。

空気清浄機を長時間使用する

屋外のホコリが室内より多い条件では、換気によって室内のホコリが増加する。

HEPAフィルター搭載の空気清浄機を30分稼働することによって室内のホコリは大きく減少するという結果でした。

長期稼働に関しても、空気中の細かいホコリは大きく減り、また人が動いてもホコリの量は抑えられたことから、小さな子どもが走りまわったりした時でも空気清浄ファンを動かし続けることによって、空気の清浄度を保ち続けることができるのではないか。ということが予想されます。

加湿により、生物のホコリを空気中から減らす

冬は、空気が乾燥しますが、どういう影響が考えられるでしょうか。咳やくしゃみによる飛沫の落下速度は速く、(30~80㎝/sec)すぐに落下しますが、空気が乾燥している状態では、口から出た飛沫がすぐに水分を失って、飛沫核となります。飛沫核になると、落下速度は落ち(0.06~1.5㎝/sec)下に落ちずに空気中に舞っていることになります。しかも乾燥していると落ちているホコリも舞い上がってしまいます。部屋が乾燥しているということは、感染アレルギーの原因がずっと室内に浮遊しているということなのです。

一方加湿をすると、飛沫であっても、水分が奪われないで大きな粒子のままですからすぐ下に落ちます。また小さな飛沫核や小さなホコリであっても水滴に吸着されるのでやっぱり落ちる。したがって吸入されにくいので感染やアレルギーを起こしにくいと言えます。また一部の病原体ではホコリの加湿によって、感染力やアレルギーを起こす力が失われることも知られています。

加湿は有効だということは間違いありませんが、気をつけたいのは、結露を起こすということ。湿度50%を超えると、結露が局所的におこるので、注意してふき取りなどをやる必要があります。

加湿に加え、床面の清掃をする

適度な加湿を心がけることと合わせて掃除機による床面などの清掃が効果的です。床面にホコリは落ちるのですから、それをマメに吸い取ることで、子どもが走っても舞い上がることはありませんし、子どもがなめて、色々な微生物を体内に入れてしまうことはなくなります。清潔を保てば、カビも生えません。

室内のどこを重点的に掃除をするか

家庭内で、一番安全な空気が必要なのはどこでしょうか。それは寝室だということです。人生の3分の1から4分の1を過ごす寝室の空気を安全に保つことが重要だということです。

ダイソンデジタルスリムを使った調査報告

最後に、ダイソンの山崎さんよりダイソンデジタルスリムを使ったホコリの調査についての報告がありました。

2020年夏、ダイソンデジタルスリムを使用して、寝室の床と寝具を44名の方に決められた時間に掃除をしてもらい、取れたごみの分析をしました。その結果、寝室の床より、寝具にごみが多く出たことがわかりました。床は掃除の頻度は高く、マットレスカバー、シーツの洗濯はできても、マットレス自体の掃除はできないためと考えられます。

また、床からとれたたんぱく量より寝具からでたたんぱく量のほうが多く、25度湿度70%というダニにとっての理想の環境は、寝具のほうが発生しやすく、また、ダニが逃げ込みやすい細かい隙間などが床よりも寝具のほうが多く存在すると結論づけられました。

住環境も、高気密になっており、1年を通じてダニ、昆虫、カビなどが、繁殖しやすい環境ともなります。これを機会に、寝具も掃除ができるような掃除道具の見直しを検討してもいいかもしれませんね。

Dyson Digital Slim TM コードレスクリーナー

 

空気清浄機 Dyson Pure Humidify+Cool

 

(取材・文 ココフル編集部)

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