子どもたちに世界中の優れた映画を届ける「キネコ国際映画祭」は今年で25周年を迎えます。
昨年から二子玉川で開催され、ますますパワーアップ。今年は兵庫島公園での気球搭乗イベント、
野外上映などのプログラムも加わり一層家族で楽しめる内容となっています!
ココフル編集部は、この映画祭に10年間ジェネラル・マネージャーとして関わっている戸田恵子さんと、
プログラミングディレクターとして6年目の中山秀征さんに、映画祭に先立ち、お話を伺ってきました。
キネコ国際映画祭とは
小さなこどもたちから楽しめる作品を中心に世界中から多彩な映画をセレクト。
11月2日~6日まで二子玉川9ヶ所で開催。大人の心に刺さる作品もたくさんあり、
期間中は二子玉川の街一体となって楽しめそう。
◆様々な国の、様々な切り口の作品をたくさん見られる
ココフル こんにちは!まずは、キネコ映画祭のすばらしいところを教えてください。
戸田 いろいろな国の作品が見られること。国によって切り口とかタッチが全く違うので、
見ているだけでも楽しいですよ。アニメひとつとっても、ヨーロッパのものなどは絵の雰囲気も違います。儲けは二の次の良質な作品がいっぱいです。
中山 お金をかけた大作ばかりが映画じゃないということがわかりますよね。短い映画もたくさんあるので小さな子から楽しめますよ。
ココフル 外国の作品ってどんな特色があるのでしょう。
戸田 取り扱う内容も国によって全然違います。子ども向けの映画でも、
戦争のものを扱っている作品もあれば、差別や偏見に切り込んでいるものもあります。同性愛を取り扱っているものもある。どれも子ども目線で作られていますよ。
中山 子どもの方がすんなり受け入れていたりしますよね。
ココフル 日本はどうしてもそういうものは隠そうとしがちですよね。
戸田 だんだん、怖いもの恐ろしいもの異質なものを見せないという風潮になってきていると感じます。
大人の社会で起こっていることは、そのまま子どもたちにも影響がいくわけですから、いろいろなものを幅広く見せてあげたいですね。
ココフル お二人は生で日本語吹き替えもやると伺っていますが。
中山 そうなんです。「ライブ・シネマ」という試みです。本来はスタジオで吹き替えて、
それを整えて出すものですが、ライブで吹き替えます。これは世界でも例をみないもの。字幕の読めない小さな子でも楽しめますよ。
戸田 普段の仕事より緊張します(笑)。大変なんです、失敗するわけにいきませんから。
相当みんな家でもDVDを借りて練習をしていますよ。本番は、そのために家でどれだけやってきたか想像しつつ、合わせてお楽しみください(笑)。
ココフル 上映されるのは短編ばかりですか?
戸田 長編もありますよ。一番短いのはポスクマ「ドキドキのごあいさつ」の3分。
長いものは野外上映で「メアリと魔女の花」(日本/145分)や、「この世界の片隅に」(日本/130分)、
私が生吹き替えを挑戦する「ウェンディと白い馬」(ドイツ/85分)などがあります。
ココフル ココフル会員は小さな子どもを持つファミリーが多いのですが、1歳でも楽しめますか?
戸田 1歳児から楽しめるプログラムは、午前中中心のAプログラム。
Aプログラムには、みんながよく知っている「リサとガスパール」や「きかんしゃトーマス」のほかフランス、
ノルウェー、イギリス、日本のアニメが1時間内に7本はいっていますよ。B・Cプログラムは3歳以上推奨です。
ココフル なるほど。人気のアニメと、知らないけれどすてきな作品がうまく散りばめられているんですね。
映画祭とともに成長
ココフル 個人的に、この映画祭と関わってどんな感想をお持ちですか?
中山 僕はちょうど6年前からこの映画祭に関わるようになりました。いつも4人の子どもと、
いっしょに喜んで見ています。今は一番上が大学生2番目が中学生。あと小学6年生と5年生がいるんですけれど、
自分の子どもの成長とこの映画祭の成長とすごく重なっていますね。自分も親として初心者だったころから徐々に年数を重ねているように、映画祭も成長していると感じます。
戸田 私はこの映画祭に関わったことで、世界各国に子どもでも楽しめる豊かな映画がたくさんあることを知りました。
私には子どもはいませんから、この映画祭に関わらなければ知り得なかったことでした。そして、すばらしい作品と出会えて、
それを子ども達に届けられる喜び、そして生で吹き替えすることの誇りですね。
去年からは、二子玉川で地域密着型としてできるようになった。ここまで来られたなあという感慨もあります。
ココフル この映画祭はどんなふうに楽しめばよいでしょうか。
中山 前評判がある映画でもない。予備知識が必要なわけでもない。
どうしてもこれを見たいという映画があるわけでもない。ひょいと見た中に立ち止まるものがある。
考えさせられるものがあるというか。その方が本当の自分の感性、価値観だと思うので、
それを大切にしてほしいですね。家族の中でも受け取り方は全然違いますからそれが面白いんです。
ココフル お二人からのおすすめの映画があれば教えてください。
中山 「チョコレートの兵隊さん」(アメリカ/12分)は、僕も吹き替えをします。
ドイツで避難生活を送っている女の子とアメリカ兵との物語です。ぜひ、見てくださいね!
戸田 「アメリアのクローゼット」(アメリカ/17分)は、11歳のいじめられっ子の女の子のお話です。お楽しみに!
ココフル 今後、キネコ国際映画祭はどんな風に展開していくのでしょうか。
中山 たとえばこの映画祭を見に来たことがきっかけで、
映画を作りたいと思う人が増えたらうれしいよね。審査員が選んだグランプリは世界映画祭に出られるんですけれど、それがまた世界で認められたらいいですねえ。
戸田 世界中から日本の作品を選びに来る人が増えて欲しいのと、二子玉川で国際映画祭をやっているよということで、これからもっと街ごと盛り上がるイベントにしたいですね。そして日本中に広まっていけばうれしいです。来年4月には熊本で映画祭も開催されるので、徐々にそんな動きもあるんです。
ココフル なるほど。それはすてきですね。最後にココフル会員にぜひ一言お願いします!
戸田 どの作品も、びっくりするほどいいんです!ぜひ遊びに来てくださいね。
中山 小さい子から大人まで、みんなが楽しめるお祭です。ぜひ会場でお会いしましょう!
ココフル とってもワクワクしてきました!ぜひ行ってみたいと思います。残念ながらこちらの映画祭に行けない人には、すてきなお知らせがあります。
全国のゲオショップでは「キッズ映画コーナー」が設置されます。
内容:「子ども映画のプロ」が厳選した「子どもたちの夢を育てる映画」のレンタル。3歳、5歳、7歳から楽しめる世界の子ども映画を紹介
作品数:年間40作品を紹介予定。
<キネコ国際映画祭>
日程 2017年11月2日 (木) ~ 6日 (月) 5日間
会場 109シネマズ二子玉川
iTSCOM STUDIO & HALL二子玉川ライズ
兵庫島公園(熱気球搭乗および野外上映イベントを開催)
二子玉川ライズ中央広場
二子玉川ライズガレリア
チケット情報 iTSCOM STUDIO & HALL二子玉川ライズ
[当日券]おとな:1,200円 こども:700円
[チラシ持参]おとな:1,200円 こども:500円 (チラシ1枚につき1名、1回有効)
109シネマズ二子玉川
おとな:1,200円 こども:700円
※当日券・前売券 同一料金、チラシによる割引はありません。
※109シネマズのみ11月1日午前0時より109シネマズ公式HPにてweb販売開始
主催 一般社団法人キンダー・フィルム (キネコ国際映画祭2017事務局)
(取材/宗像陽子 撮影/戸田敏治)