Cocoful ココフル

  • 友だち追加

イベント・企画

新春チャリティーイベント 新米&通潤橋復興支援スペシャルランチ

2018.01.15

◆棚田の景観を守り、震災復興支援を行う

食育・料理研究家/受験フードアドバイザーである中原麻衣子さんは、夫が熊本県山都町の出身であった縁で、2015年より熊本県山都町「鮎の瀬交流館こめ屋」とともに「ハートフルシェア田」という仕組みを作り、棚田の復興支援活動を本格化させました。


▲中原麻衣子さん

「ハートフルシェア田」のオーナーになると、定期的に熊本の素晴らしい自然の中で育まれたお米を送ってもらうことができます。

しかし、「ハートフルシェア田」は単に「消費者と生産者が契約し、安定的なお米の供給を約束する」だけのものではありません。

「棚田を守りたい。後世に残したいという共通の思いを持った全国の仲間が棚田をシェアする」という「日本文化的景観認定棚田を守る環境保全型農業の取組」なのです。

 ハートフルシェア田の目的は3つです。

①日本が誇る重要文化的景観である認定棚田とその地域を「未来に繋ぐ」。

環境保全型農業(=循環型農業)により、地球にも人間(ヒト)にも優しい農業を実現する

③2016年4月熊本地震 復興継続的支援を行う

 生産者は、環境保全型農業(=循環型農業)で地球にも人間(ヒト)にも優しい米を生産することで棚田の景観が守られます。消費者は、定期的に完全無農薬の米を受け取るとともに、棚田を守る活動を知り、お米ができていく過程を知っていきます。中原さんの発信するメルマガでは、稲の成長など、シェア田の様子を生き生きと伝えてくれるので、食育にもなりますね。

◆チャリティーイベント開催

2018年1月11日に南青山にあるレストランラ・ロシェル南青山で開かれた「新春チャリティーイベント 新米&通潤橋復興支援スペシャルランチ」では、こういった取り組みの紹介と、すべて玄米で作ったフルコースが提供され、参加者80名余が山都町の食材に舌つづみを打ちました。


▲ラ・ロシェル 南青山

 この日、パーティー会場に登場したのは、山都町町長そして職員の皆さん、生産者の松川陽一さん、三浦祝弘さん。そしてこの取り組みに賛同し、シェア田オーナーとなっている「レストラン ラ・ロシェル」のオーナー、坂井宏之シェフと総料理長川島孝シェフ、「レストラン ラ・ロシェル山王店」料理長楠野大シェフ。そしてくまモンです。


▲山都町長梅田穰さん


生産者の松川陽一さん(左)、三浦祝弘さん


レストラン ラ・ロシェル 総料理長川島孝シェフ(左)、山王店料理長楠野大シェフ


▲中原麻衣子さん(左)と料理の鉄人 坂井宏之シェフ


▲エプロン姿も初々しいくまモン!

◆棚田と棚田の景観を守るとは

中原さんは「この先、20年、30年という未来を考えたときに『棚田を守ろう』という強い意識がないと、棚田は消えます」と訴えます。

なぜ、棚田は消えていく運命にあるのでしょうか。

棚田の管理は非常に苦労を伴うため、高齢者化した農村では姿を消しつつあります。

棚田は傾斜地を少しずつ切り開いて農作物を作っているため、膨大な手間暇がかかるそうです。棚田は、田と田の間の傾斜部分にすぐに雑草が生えてしまい、田の面積よりも草を刈らなければならない面積のほうが大きいほど。しかも無農薬にこだわれば、草の生える速度も速く、虫の発生も桁外れ。無農薬だと猪などが畑を荒らすため、日々知恵比べだそうです。

 

山都町には、町のシンボルである国指定重要文化財『通潤橋』(水路橋)があります。水不足を補うために江戸時代に建設されたもので、日本最大級の石造りアーチです。橋の上部からはサイフォンの原理を応用した3本の石の通水管からは勢いよく水が噴き出し、周囲の田畑を潤しています(残念ながら、現在は熊本地震による被害のため放水はストップしています。)

通潤橋(震災前)の様子をスクリーンで紹介

この『通潤橋』と周りに広がる棚田の絶景を、後世に残したいというのがこのプロジェクトの目的なのです。

◆なぜ無農薬にこだわるか

では、それほど大変なのになぜ無農薬にこだわるのでしょうか。

「山都町は、標高が高いため上流で作物を作ります。当然農薬などを使えば、下流に流れてしまいます。生態系を守るためには、無農薬にこだわることが上流で物を作るものの役割だと感じています」と生産者の松川さん。循環型農業を続ける三浦さんも「2,30年で、虫や動物がとても減ってしまいました。それを元に戻したいですね」と応じます。

松川さんは田に合鴨を放し、無農薬・無化学肥料での米つくり農法を実践しています。合鴨を田に放すことで、除草効果があったり、土が攪拌されたり、害虫を食べてくれたり、排せつ物が有機肥料になったりと、様々な効果があるそうです。

三浦さんは、田でとれたワラ、もみ殻、米ぬか、ワラを食べた牛のたい肥などを、田に戻すなど、昔ながらのコメ作りで農薬不使用・化学肥料不使用にこだわって米つくりを行っています。

「できれば無農薬で農産物を食べたい人」もいますが、「切実に無農薬の農産物が必要な人」もいます。たとえばがん患者やアレルギー体質の人がそうですね。そういった人たちに、ちゃんとした農産物を届けることが必要だと中原さんたちは考え、活動を続けているのです。

◆玄米フルコースに舌つづみを打つ

一方、食材を使って料理を作るプロである坂井シェフも、活動に賛同するメンバーの一人です。「こだわって一つのものを作るのは本当に大変です。山都町から送られる野菜や米には、力があります」と言います。


▲料理の鉄人 坂井宏之シェフ

 坂井シェフは、「無農薬の農作物は作るのが大変です。量も沢山はできません。棚田は景色は美しいが、維持するのは大変なんです。山都町の米や野菜は食べてみても甘味があり、ふっくらしていますね。ご苦労されて作られた食材のおいしさを、いかにみなさんに伝えていくかが我々の使命だと感じています。このプロジェクトによるつながり、絆をこれからも大切にしていきたいと思っています」と真摯に語っていました。

パーティー後半では、シェフたちが、作るすべての料理に玄米の入った玄米フルコースが供せられました。


▲でこぽんジュースで乾杯!


▲玄米入りスープガルビュール、熊本県産鹿の田舎風テリーヌ 棚田無農薬玄米のサラダ

 玄米といえば、固いポソポソしたといったイメージがありますが、山都町の玄米は九州山脈の天然水をたっぷりと含んでおり、弾力さえ感じられるしっかりした味でした。ご飯だけではなく、おせんべいのように薄くして、カリカリとなったものやとろりと煮込んだものなど、様々なアイデアを駆使した玄米が使われていました。


▲阿蘇サーモン、玄米、冬キャベツ

野菜はどれもエネルギーに満ちており、スーパーでいただくものとは全く違い、食材本来の味が濃く感じられました。


▲熊本県産猪肉 里芋と木の子のクリームフリカッセ 棚田玄米添え

肉料理は、鹿のテリーヌと猪肉・サトイモときのこのクリームフリカッセが出されました。鹿はこってりと濃厚な味で、猪はホロリと箸で切れるほどの柔らかさで会場からは「おいし~い」「やわらかーい」と驚きの声も上がっていました。

 
▲イチゴと棚田米をデザートにし、煎茶とお米のシャーベットとともに

パーティーでは、このほかすでにハートフルシェア田のオーナーになっている方のスピーチや、熊本震災後の復興の様子の動画を見る時間なども設けられ、大変充実した時間となりました。またスペシャルゲストのくまモンは、会場でも大人気。トークショーでも相槌を打ったり驚いたりといったしぐさで参加。やんやと喝さいを浴びていました。


▲しっかりカメラ目線のくまモン

最後は中原さんが挨拶に立ちました。

「震災、天災にあったときにどれだけ健康が大切なことか実感しました。末永く皆様と健康であり続け、孫もひ孫も見られるようでありたい。これからも食べるものに意識を傾けていきたい」と述べた後、「作り手の思いがしっかりしていると、選ぶ我々の心も豊かになります。20年後もこの会が続いていますように」と締めくくり、気持ちのこもったあたたかなパーティーは終了しました。

復興支援をしたいが何をしていいかわからない。
子どもになるべく安心安全な食料を与えたい。
もしあなたがそんなことを思っているなら、熊本県山都町に想いを致してみてはいかがでしょうか。
新しい出会いが待っているかもしれません。


▲気さくに記念写真に応じるくまモン

ハートフルシェア田の取り組みについては

https://ameblo.jp/vege-maimai/entry-12245149020.html

 ラ・ロシェル
http://www.la-rochelle.co.jp/

 

この記事が気になったら
シェアしよう