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おでかけ

自然と現代アートに触れる旅!(後編)「家プロジェクト」「豊島美術館」 香川県

2022.01.28

瀬戸内海に浮かぶ直島や豊島には、美術館やアートスポットが点在しており、アートの島としても知られています。子どもといっしょに自然豊かな島々をめぐりながら、アート鑑賞してきました。
後編では、直島の「家プロジェクト」と、豊島(てしま)の「豊島美術館」などをご紹介します。

「ベネッセハウス ミュージアム」「李禹煥美術館「地中美術館」を訪問した前編はこちら! 自然と現代アートに触れる旅!「ベネッセアートサイト直島」

地域の空き家をアート作品として再生した「家プロジェクト」

本村風景 (提供:ベネッセホールディングス 写真:鈴木研一)

「家プロジェクト」は、直島東側の本村地区にあった空き家を改修し、アート作品として再生するプロジェクトです。
現在、公開されている家は、「角屋」「南寺」「きんざ」「護王神社」「石橋」「碁会所」「はいしゃ」の7軒。
本村地区までは、「地中美術館」や「ベネッセハウス」から、自転車で10~15分ほど。小型船のターミナルを有する港があり、歴史の感じられる町なみの地域です。

本村ラウンジ&アーカイブ (提供:ベネッセホールディングス 写真:鈴木研一)

地域に点在する作品巡りの拠点になるのが、「本村ラウンジ&アーカイブ」です。
休憩所やミュージアムショップにもなっているこの建物、以前は農協のスーパーマーケットだったとのこと。トイレではオムツ替えもできます。

「家プロジェクト」のチケットもここで購入します。7軒の家のうち、「きんざ」のみ事前予約が必要。残りの6軒は予約不要です。ただし「南寺」は、チケット購入時に訪問時刻の書かれた整理券が配られますので、指定された時間に訪問するようにしましょう。

家プロジェクト「はいしゃ」大竹伸朗"舌上夢/ボッコン覗" (提供:ベネッセホールディングス 写真:鈴木研一)

周囲の町なみになじんだ「家」の中、目を引く外観の建物が、元歯科医院兼住居だった建物を改修した「はいしゃ」です。

2階建ての家には、靴を脱いで上がることができます。廊下の床はガラス張りになっていて、絵葉書や切り抜いた雑誌のページなどがコラージュされていました。トイレのドアは取り払われ、天井まで吹き抜けになっている部屋もあります。一方、窓枠や階段、壁などには、以前の家の面影が残っていました。
階段を2階へ上って奥へ進むと…なんと自由の女神像が!
古い家から異空間へ誘われてしまうアート作品です。

家プロジェクト「角屋」宮島達男"Sea of Time ’98"(提供:ベネッセホールディングス 写真:鈴木研一)

その名のとおり、角地に立つ家です。
室内には水が貼られ、水中には色とりどりの数字が点滅しています。

“家を利用したアート”という特性上、家に出入りするつど靴を脱いだり履いたりする必要があったり、室内が暗い、水があるなど、小さな子どもは特に、保護者のサポートや見守りが必要となる作品が多かったように思います。

かといって、小さな子どもが鑑賞できないわけではありません。室内で注意することなど、事前にスタッフからの丁寧な説明もあり、5歳の息子も頷きながら聞いていました。
鑑賞時のマナーも含めて、親子で貴重な経験ができたように思います。

「南寺」のそばの公園で休憩中

作品と作品の距離は徒歩数分ほど。歩いてもじゅうぶん回れますが、限られた時間で7軒すべてまわろうとすると、小さな子どもは疲れてしまうかもしれません。
マップを見て順番を工夫したり、途中で休憩を挟みながら鑑賞するといいかもしれません。
我が家は「南寺」のそばの児童公園で途中休憩しました。
なんと公園の円筒トイレも安藤忠雄設計とのこと!あちこちでアートに出会える島です。

子どものための鑑賞ツールやプログラムもある!

左:李禹煥美術館の「キッズツール」。右:地中美術館の「キッズカード」。

各美術館では、子ども向けのワークシートも配られています。
鑑賞の手助けになるような言葉や問いかけが載っていたり、感じたことや思いついたことを書きこめるようにもなっています。

集めたワークシートを入れるためのポケットや、ワークブック、リング式ファイルなどがセットになった「ベネッセアートサイト直島 冒険ブック」も販売されています。(税込1,700円)
拾った落ち葉や貝殻などを収納できるチャック袋、ゴミなどを持ち帰るためのビニール袋、それらを収納するためのバッグなどもセットになったオリジナル鑑賞キット。対象年齢は、小学校中高学年とのこと。旅の思い出にもなりそうですね!

直島から高速旅客船で20分!「豊島美術館」

豊島の玄関口、家浦港

直島から高速旅客船で約20分の距離にある豊島(てしま)、豊島経由で55分の距離にある犬島も、アートの島として知られています。

豊島へは香川県の高松港、岡山県の宇野港からも船が出ています。
私達は直島を訪れた翌日、高松港から高速旅客船に乗り「豊島美術館」へ行ってきました。
高速船はフェリーよりも小さく車は乗船できませんが、わずか35分で豊島に到着!

この日もお天気が良かったので、子どもを乗せられる電動自転車を借りて島内を巡りました。美術館までの道は舗装されていますが、アップダウンが激しいと聞き、家族全員ヘルメットも装着。

豊島美術館へ続く坂道

あらかじめ聞いていたとおり、行きはしばらくの間、上り坂が続きます。
坂道を登りきると、今度は一気に下り坂に。
目の前に広がる海と空!風を切って自転車を走らせる気分は最高でした!

豊島美術館 (提供:福武財団 写真:鈴木研一)

島の北東、唐櫃(からと)の丘にある豊島美術館。丘の斜面には美しい棚田。眼下には瀬戸内海がひろがっています。

巨大な白い貝殻?はたまた宇宙船?

ふしぎな外観の美術館は、建築家・西沢立衛の設計によるもの。大小2つの建物のうち、大きいほうの内部は、アーティスト・内藤礼の作品の公開されたアートスペース。小さいほうは、カフェ&ミュージアムショップとなっています。

入館は日時指定の事前予約制。チケットセンターで受付を済ませてから中に入ります。
豊島美術館のアートスペースにあるのは、内藤礼の作品のみ。ですが、建物のそばにある明神山も美術館の敷地となっており、山裾をぐるりとまわりこむようにしてアートスペースへ。途中、木立やベンチもあってピクニック気分です♪

入り口でフェルトのスリッパに履き替えて中へ。
子ども用のスリッパもあり、子どもたちもワクワクしているようです!

建物の中は、真っ白で巨大な空間!天井には、大きな穴がぽっかりとあいています。
よく見ると、床のところどころに水滴が。踏まないように気をつけながらそっと奥へ。
天井の穴からは日光が差し込み、青空が見えます。どこかで鳥が鳴いています。
水の流れに目を凝らし、自然の音に耳を澄まし、光や風を感じる……。五感の研ぎ澄まされるような静謐な空間でした。

豊島横尾館 (提供:福武財団 写真:山本糾)

島内には、ほかにもアーティスト・横尾忠則の作品11点を展示した「豊島横尾館」や、古い民家や工場跡を利用した「心臓音のアーカイブ」「針工場」「ストーム・ハウス」など、ユニークなアートスポットが点在しています。

島にいる限られた時間の中では、まだまだ見きれなかったスポットもありました。
それでも、美しい自然に触れながら、たくさんのアート作品や心地のいい空間を訪れることができ、豊かな気持ちで島をあとにしました。
まだ小さな子どもたちのなかにも、島で見たものや感じたことが残ってくれるといいな、と思います。

(取材・文/ 桐谷きこり)

基本情報

名称ベネッセアートサイト直島
WEBhttps://www.benesse-artsite.jp/
関連情報

■家プロジェクト
住所: 作品によって異なります。
開館時間: 10:00~16:30 (「南寺」最終入館 16:15)
休館日: 月曜日(ただし、月曜日が祝日の場合は開館、翌日閉館)
入館料(2022年1月現在): 共通チケット(「きんざ」を除く6軒を鑑賞)1,050円
ワンサイトチケット(「きんざ」を除く1軒のみを鑑賞)420円
※15歳以下は無料。
アクセス: 宮浦港から町営バス「つつじ荘方面行き」約8分、「農協前」下車すぐ。

■豊島美術館
住所: 香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607
電話: 0879-68-3555
開館時間: 3月1日~10月31日 10:00-17:00(最終入館16:30)
11月1日~2月末日  10:00-16:00(最終入館15:30)
休館日: 火曜日(3月1日〜11月30日)
火曜日から木曜日(12月1日〜2月末日)
※ただし祝日の場合は開館、翌日休館
※ただし月曜日が祝日の場合は、火曜日開館、翌水曜日休館
入館料(2022年1月現在): 大人 1,570円 ※15歳以下は無料。
※公式WEBサイトより、日時指定入館予約チケットの購入が必要です。
アクセス:家浦港から バス 約15分「美術館前」バス停で下車。電動自転車 約30分。
唐櫃港から 徒歩 約15分。

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