2022年1月5日にオープンした絵本と児童文学の専門店「ほんとのであい 緑のゆび」に親子で行ってきました。
店主はあの有名な絵本の出版社「こぐま社」の前社長・𠮷井康文さん。そこにいるだけで豊かな気持ちになれる、このお店ならではの魅力をご紹介します。
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2022年1月にオープンした「緑のゆび」は、時代を超えて愛される名作絵本や児童書を数多く取り揃える専門店です。
店主は絵本の出版で有名な「こぐま社」前社長で、現在は本の魅力を広めるために全国で講演や読み聞かせを行っている𠮷井康文さん。その確かな知識と経験から選び抜かれた本や雑貨類が、このお店にはギュッと詰まっているのです。
アンティークの家具が置かれた落ち着いた雰囲気の店内は、美しい草木を思わせるグリーンの壁紙が印象的。一歩足を踏み入れると、そこには表の喧騒と切り離された心地よい静けさが広がっており、まるで自分だけの秘密の隠れ家を見つけたような気分に!
店名の由来になったのは『みどりのゆび』(モーリス・ドリュオン作 岩波書店刊)というフランスの児童文学。“当店1番のおすすめ本”として、入ってすぐの棚にさまざまな判型の『みどりのゆび』が紹介されていました。
触れるもの全てを美しい草花に変えてしまう不思議な指を持つ少年が、世界を戦争のない平和で美しい社会に変えてゆく……そんな『みどりのゆび』の物語は、“1冊の本との出会いが人生を変える、そんな本の力、ことばの力を、私たちは信じています”と語るお店の思いにも通じているかのようです。
場所はここ数年で絵本や児童書の専門店がぞくぞくとオープンしている吉祥寺の東急裏エリア。吉祥寺駅中央口(北口)から徒歩7分の中道通り沿いになります。
新旧さまざまなお店が入り混じる中道通り商店街は見所がたくさん。「これは何?」「ここは何屋さん?」と息子は興味津々で、何度も足を止めていました。
約400メートル進んだ先、左手にセブンイレブンが見えてきたら、その向かい側が「緑のゆび」です。付近には絵本の古本屋「MAIN TENT」や「あぷりこっとつりー」「クレヨンハウス東京店」もあり、複数のお店を梯子する散歩コースも楽しめます。
買い物を終えたら井の頭公園まで少し足を伸ばして、豊かな自然の中でたっぷり遊ぶのもいいですね。
今回5歳の息子を連れて訪れた「緑のゆび」のおすすめポイントを紹介します。
一番の嬉しいポイントは、なんといっても絵本や児童書に精通する店主の𠮷井さんと直接お話しができること!店内の本や雑貨について質問すると、それらにまつわるさまざまなエピソードを話してくれたり、子どものためにさらっと読み聞かせをしてくれたりするのです。なんてスペシャルな空間なのでしょう。
長年子どもの本のプロとして本の世界に携わってきた𠮷井さんの言葉は、子どもにとってはもちろん、私たち大人にとってもかなり興味深く貴重なもの。作家さんのちょっとしたエピソードを聞くのも楽しく、大好きな本や作家さんへの理解をさらに深めることができます。
さらにこの日は“たまちゃん”の愛称で親しまれるスタッフの玉越さんの姿も。𠮷井さんと玉越さんの含蓄に富んだお喋りを聞くだけでもわくわくし、日頃忙しなく張り詰めていた気持ちがどんどんほぐれていくのを感じました。
実は息子が途中で機嫌悪く床に転がって「いやいや」する出来事がありかなり焦ってしまったのですが、「きみは元気ですごいなあ!」「もっとやれ〜!って声かけたくなっちゃうね(笑)」と大らかに笑ってもらい、恐縮しつつとても救われました…。
棚を眺めているだけで、昔好きだった本の懐かしい記憶が蘇ります。この日は私も息子もそれぞれ欲しい本を選びました。
私が選んだのは、子どもの頃に愛読していた『ジェインのもうふ』(アーサー・ミラー作 アル・パーカー絵 偕成社刊)、夜間救急にかかる親子の様子をドキュメンタリータッチなモノクロ写真で描いた異色作『よるのびょういん』(谷川俊太郎作 長野重一写真 福音館書店刊)の二冊。
さらに、以前から気になっていた「花森安治 5年日記」を発見!そちらも思い切って購入しました。
息子は「前に保育園で読んだことがあって、ほしかった」という『めっきらもっきらどおんどん』(長谷川摂子作 ふりやなな絵 福音館書店刊)を選びました。「こんな感じの本を探している」と𠮷井さんに相談すると「これかな?」「これはどうかな?」と教えてくれて、ほしかった絵本を見つけることができました。
「緑のゆび」では毎週のようにさまざまなイベント・ワークショップが開催されており、詳細はお店のInstagramで随時告知されています。
古今東西の絵本を読み解いていく𠮷井さんの人気講座「えほんを楽しむ絵本講座」、本好きの大人が集まって語り合う玉越さん主催「大人のためのほっこりタイム 夜の読書会」など、どれも気になるものばかり!
内容によっては専門家をゲスト講師として招くことも。1回のワークショップは60分程度のものが多く、料金も1000円前後とリーズナブル。予定をやりくりできれば気軽に参加できそうです。
もともとは玉越さんの地元だという吉祥寺にオープンし、今年の1月で1周年を迎えた「緑のゆび」。今後も本と人、人と人とが出会う「場」として地域に根ざしたお店を目指していきたいそうです。
「このあたりはトイレも少ないから、気軽にトイレを借りに立ち寄ってくださいね」と子連れにとってはうれしいお言葉も!
次に来るときはもう少しジュニア向けの本についてもお話を聞きたい、ワークショップにも顔を出したいな……と夢がふくらんだ1日でした。ぜひまた遊びに来ますね。
(取材・文/古賀ゆに)
名称 | ほんとのであい 緑のゆび |
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WEB | https://midorinoyubibook.com/ |
営業時間 | 11:00~18:00 |
定休日 | 月曜定休 (祝祭日は営業) |
住所 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町4-1-3 村上ビル1階 地図を見る |
アクセス | JR中央線・京王井の頭線「吉祥寺」駅 中央口(北口)から 徒歩約7分 |
お問合せ | 電話:0422-88-1007 |