毎週末テレビで「サザエさん」のアニメを見るのが大好きな息子を連れて、東京都世田谷区桜新町にある「長谷川町子美術館」に行ってきました。
レトロでポップなサザエさんの世界に浸れる空間は、大人も子どももワクワクすること間違いなし!
とりわけ2020年に新設された「記念館(美術館分館)」のインタラクティブな常設展は、小さな子どもでも夢中になれる仕掛けが満載。今日は詳しくご紹介します。
目次
1985年に「長谷川町子美術館」、サザエさん生誕100周年の2020年には「記念館(美術館分館)」が開館。東京都世田谷区桜新町は、サザエさんの作者・長谷川町子さんが長らく暮らした“サザエさんの町”として知られています。
東急田園都市線「桜新町駅」より地上に出ると、「サザエさん通り」と呼ばれる商店街のいたる所にサザエさん一家の銅像やイラストが。
駅から美術館へは徒歩7分。「サザエさんみっけ!」「こっちにも!」と教え合いながら、わいわいと楽しく歩くことができます。
終戦翌年の1946年に福岡の新聞「夕刊フクニチ」で連載が開始され、1951年から1974年までは「朝日新聞朝刊」で約20年以上も連載された国民的漫画「サザエさん」。
おてんばなサザエさんの身辺雑記を時事問題とともにすくい上げた約7000話ものエピソードは、コミックスにして全68巻に及び、今日まで多くの読者に愛されてきました。
一方1969年に始まったテレビアニメは、ご長寿アニメとしてギネス世界記録を更新中。今なお毎週新作が作られ続けているなんて、改めて驚くべきことです。
けれど、作者である長谷川町子さんについては案外知らないことばかり。今日は「町子さんってどんな人?」にも迫りたいところです。
「長谷川町子美術館」と「記念館(美術館分館)」は道を挟んで併設されており、美術館→記念館が順路とのこと。さっそく美術館から行ってみることにしました。
入館料は大人900円(未就学児は無料)。これで美術館と記念館のどちらも観覧することができ、記念館への入場券もこの時に受け取ります。
館内は、町子さんとお姉さんの毬子さんが蒐集した様々な美術品の展示がメイン。町子さん自身の作品を期待する人にとっては「あれ?」となるかもしれませんが、ふだん町子さんがどんな絵画を好み、インスピレーションを得ていたかを伺い知れる貴重な空間です。
1点だけ、エレベーターがなく階段で移動しなければならない点はご注意ください。
1992年に72歳で亡くなられるまで、町子さん自身も足を運び、愛着を持って育んでこられたというこの空間。その思いは美術館のリーフレットに掲載されている「私と美術館」という可愛らしいエッセイ漫画にも綴られています。
美術館の2F奥には、ひっそりと「アニメの部屋」と書かれた入り口が!
ここにはアニメ版サザエさんの制作資料や磯野家の模型、アニメ版サザエさんの上映コーナーがあり、アニメファンの息子にとっては見所がいっぱいです。
大勢のスタッフがチームでつくるアニメゆえ、漫画では曖昧だった磯野家の間取りなどもアニメ用に確定する必要があったのだとか。家の模型も細部までよく作り込まれていました。
また磯野家の「茶の間」から見える庭の花やカーテンの柄も季節毎に決められているそう。ここで得たそうした知識を毎週のアニメで検証してみるのも楽しいですね。
なお、美術館のトイレにオムツ替え台はありますが、授乳できるベビー休憩室やベビーカーのまま入れる多目的トイレは記念館にあるとのことです。
美術館から道路を1本挟んだところに建てられた「記念館(美術館分館)」は、「サザエさん」や「いじわるばあさん」など町子さんの代表作を中心に、作家・長谷川町子の生涯や魅力に迫る展示を展開しています。
入り口広場には町子さんが大好きだったという枝垂れ桜が植えられ、サザエさんといじわるばあさんが町子さんを囲んだ銅像がフォトスポットになっていました。
記念館も美術館と同じ2階建てですが、こちらにはエレベータがあります。また授乳室とオムツ替え室を兼ねた「ベビー休憩室」や、広々とした「だれでもトイレ」があるので、小さな子ども連れのファミリーも過ごしやすいですね。
息子がもっとも夢中になったのが、「けんけんぱ」遊びや「板べいへのらくがき」体験を最新の技術を使ってできるこちらのコーナー。
カツオくんになりきって板べいにらくがきできるコーナーは、手の動きをレーザーが感知して絵を浮かび上がらせるというハイテクな仕掛け。数分経つと自動で消えるので、こちらも無限に遊ぶことができます。
さらに、奥にある畳敷きの小上がりには、町子さんの絵本を紹介する「えほんコーナー」と、昭和20年代に発売されたぬりえをデジタル体験できる「ぬりえコーナー」もありました。
ちなみに、この部屋は一般の方でも写真撮影OK。夢中に遊ぶ子どもたちの様子を撮影することができます。
同じフロアの中央に3箇所あるブースでは、「サザエさん」「エプロンおばさん」「いじわるばあさん」の選りすぐりの漫画をテーマ別に検索でき、なんと原画の状態で大写しに読めるモニターが設置されています。
丁寧な描線やホワイトの修正、フレームサイズを紙を貼って継ぎ足したあとなど、町子さんの膨大な手仕事を心ゆくまで眺めることができます。
これらを、いっさいアシスタントを頼まず、すべてひとりで描き上げたという町子さんの凄みも感じられました。
記念館2Fの常設展や企画展では、町子さんの生涯に光を当てた展示が充実。
九州で裕福に暮らしていた幼少期、大黒柱である父を失い母と姉妹で生計を立てた上京時代、天才少女漫画家としての華々しいデビュー、執筆に使っていたデスク…。
レトロでポップ、気取らずチャーミングでオシャレ、そんな魅力的なサザエさん像の奥に、長年第一線で活躍してきた作家としての町子さんの姿、家族で支え合って生き抜いてきた長谷川家の女性たちの姿が見えてきました。
最後にちょっとした休憩にぴったりな「喫茶部」と、お洒落にデザインされたオリジナルのサザエさんグッズが買える「購買部」へ。
「喫茶部」では、町子さんのエピソードと絡めたメニュー毎の説明が楽しめます。息子はいちごみるく、私はミルクコーヒーをオーダーしました。ちなみに飲み物はテイクアウトもできるそうですよ。
明るく朗らかな雰囲気の中、大人も子どももくつろげる「長谷川町子美術館」。
展示の一つひとつに町子さんの作品や生き方へのリスペクト、サザエさんをはじめとするキャラクターへの愛情が感じられ、そこにいるだけで元気がもらえる空間でした。
今日は息子の遊びが中心となりましたが、じっくりと絵本や漫画を読み込んだり、約3ヶ月毎に入れ替わる企画展をみたりと、大人だけで訪れてもたっぷり楽しめそう。
暑さの続く今の時期、遊べて学べてのんびり涼めるお出かけ先として、ぜひおすすめです。
(取材・文/古賀ゆに)
©長谷川町子美術館
名称 | 長谷川町子美術館 |
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WEB | https://www.hasegawamachiko.jp/ |
住所 | 東京都世田谷区桜新町1-30-6 地図を見る |
アクセス | 東急田園都市線「桜新町駅」下車 徒歩7分 東急バス「桜新町1丁目」下車 徒歩1分 ・目黒駅←→弦巻営業所(黒07) ・都立大学駅北口←→弦巻営業所(都立01) |
料金・参加費 | 一般900円(800円) 65歳以上800円(700円) 大学生・高校生500円(400円) 中学生・小学生400円(300円) ※()内は20名様以上の団体、障がい者手帳をお持ちの方とその介護者 ※上記料金にて美術館と記念館の両方の観覧が可能 |
お問合せ | 電話:03-3701-8766 |
関連情報 | 開館時間:10:00~17:30(受付締切16:30) |
駐車場情報・駐車料金 | なし(身障者用を除く) ■駐輪場:あり |